☆1番の障害はモチベーション
この試合、シャルケはチーム全員で約120Kmもの距離を走っている。一方のレアルは113Km。2,3Kmの誤差はよくある話だが、7kmも差が生まれる事は珍しい。これはシャルケが走っていたというより、レアルが怠慢だったと表現できる。
フクスはベイルよりも走っていたし、前線もレアルのビルドアップを潰すために奔走した。やはり弱者が強者を倒すには走り勝つ事が大前提であると証明したデータといえるだろう。レアルが走れなかった背景には、2点のリードによる油断、過信など、様々な理由が挙げられる。
しかし、モチベーションの低下が原因だったとすれば、それはアンチェロッティ政権の終焉を意味する事となる。アトレティコとのマドリード・ダービーを0-4で落とした試合も、ビジャレアルに敗れて首位の座をバルサに明け渡した事も、どこか選手たちのモチベーション低下が作用しているのではないだろうか。
この日もレアルは散々だった。前線からのプレスは相手にかわされ、小柄なテクニシャン・メイヤーを抑える事が出来ない。いつもなら囲んで奪うところでも、相手を取り逃がしてサイドチェンジを許してしまった。ロナウドらスーパースターの意地で3点を奪ったものの、負けて然るべき内容だった。
当然の事ながら、この日の試合運びで決勝まで辿り着けるほどCLは甘くはない。3月22日におこなわれるクラシコも同様だ。ケディラやコエントランからは気迫が全く感じられず、チームにはビッグイヤー連覇を目指す気概は感じられない。
そして騒がれ始めたアンチェロッティの進退・・・。仮にCLを落とし、22日のクラシコに敗れれば、無冠の可能性が高くなる(国王杯はすでに敗退)。獲得したのは欧州勢が勝つことが決定づけられているクラブ・ワールドカップのみとなり、これではアンチェロッティの首が飛んでも不思議はない。
「シャルケは頑張ったが、レアルには勝てなかった。それほど両者には差があったんだ!」そんな記事も目にした。しかし、この試合はレアルの強さを象徴するものでは無かった。勝利という影に潜んでいた不穏分子が一気に顔を出したのだ。
フェルティンス・アレーナでの完勝、ベルナベウでの4失点・・・。不安定な戦いを見せるレアルは、本当にこのまま「みっともない」存在に成り下がってしまうのだろうか・・・。