負傷によるW杯欠場を経て、復帰後4試合連続得点
なでしこJAPANのカナダW杯決勝から未だ3週間で、なでしこリーグは4試合を消化。首位のINAC神戸レオネッサでは負傷でW杯を欠場したFW高瀬愛実が復帰後4試合連続得点でチームを牽引。
それも全て先制点となる貴重な得点を挙げ、チームの首位キープに大きく貢献しています。
2012年には18試合で20得点を記録して得点王とMVP、ベストイレブンの個人3冠を獲得。
昨年も3連覇中だったチームがリーグ6位と低迷する中でも19得点を記録。チームとして機能していなくても、身体能力に優れた彼女のパワーとスピードを兼備する強引な突破と決定力は「別格の個」で得点してしまう。その域は代表のエースFW大儀見優季クラス。
カナダW杯でも、「高瀬がいれば・・・」と思った女子サッカーファンは多かったように思います。
ただ、INACでの大黒柱としてのプレーとは打って変わり、代表では2012年3月のアルガルベ杯でアメリカ相手の初勝利となる決勝点を挙げた以外はインパクトが薄く、ここまで国際Aマッチに56試合出場していながら9得点に止まっています。
大儀見とは真逆の成長過程 『便利屋』から『本格派』FWへ変貌
代表FW陣には大儀見や安藤梢、大野忍など海外組(経験者)が揃う中で、フルメンバーが揃う場合の高瀬はサイドMFやボランチ、ウイングなどのポジションを任される事が多く、それは2012年以前のINAC神戸での立場も同様。
パスサッカーにフィットしきれずに、身体能力やチームへの献身性で評価される「便利屋」としてのプレーが続きました。
しかし、パスサッカーを突き詰めたINACにとっては、さらなる進化のために縦への速さをプラス加えるためゴールに直線的に向かう攻撃を取り入れるようになりました。そこで卓越した「個」を持つ高瀬が主力FWとして抜擢されるに至りました。
それまでは一見すると「起用貧乏」のような状態であった高瀬ですが、様々なポジションや役割をこなした経験はフィニッシュワークの多彩化という本格派のストライカーへの脱皮にも一役買ったようにも見えます。
なでしこジャパンのエースFW大儀見は4年前のドイツW杯ではストライカーとしての意地に拘り過ぎたために準決勝から先発メンバーを外れた事で、優勝を果たしたチームの中で不完全燃焼感を抱きました。
大儀見は16歳で代表デビューし、2006年のアジアカップでは19歳で大会得点王に輝くなど、10代ですでに代表FW陣の主軸となっていたエリート。
しかし、ドイツW杯での複雑な想いを胸に、チームプレーの重要性も意識。FWとして得点に特化するだけではなく、世界最高級のポストプレーで攻撃の起点になっては、前線からのプレッシングも献身的にこなす選手に。
また、リーダーシップも発揮できる選手にも変貌しました。
高瀬と大儀見は真逆の立場、視点から「FW」という専門職のポジションを捉えて共に成長してきたFWですが、今回の東アジアカップには海外組が招集できないため、高瀬には大儀見クラスのポテンシャルを結果に繁栄させる活躍が期待されます。