38〗Millennium Stadium / カーディフ


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ファイナルがレアル対ユ-ヴェとなれば、’98年アムステルダムでのファイナルを思い出し比較してしまうのは加齢臭が気になる世代。この試合は近代フットボ-ル史の分岐点となった試合と言ってもけして大袈裟ではない。三十二年年ぶりに王者に輝いた銀河系黎明期のチ-ムと比べてもこの時の攻撃陣は遜色ないどころか、歴代最強スリ-トップ。
バルサのMSNに対してレアルのBBCが2014年からクラシコを彩った。当初は個々の技術で勝るMSNが上。しかしこのジネディーヌ·ジダン:Zinedine Zidane【1972年6月23日生】監督のもと、欧州連覇を果たした頃からBBCが実績で上回り始める。クリスティアーノはそれまでドリブル大好きのスタイルから、エリア内で高さを活かす等フィニッシャ-として技術を磨いた。そのクリスティアーノの新たなスタイルを引き出したのがカリム·ベンゼマ:Karim Benzema【1987年12月19日】。真ん中でも、左でも二列目でも兎に角気の利いたプレ-をしてくれる。そしてこの2016-17にはメッシとCR7を抜いて、“世界で最も高給取りのフットボ-ラ-”の称号を手にしたのがウェールズの伝説ギャレス·ベイル:Gareth Bale【1989年7月16日生】。
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かつて新たな航路を開拓したスペイン 超国家クラブ時代の幕が開く

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1998年の決勝は《外国人枠の撤廃/契約満了後の移籍の自由》したボスマン判決の恩恵を享受したクラブ同士の試合である。一月後にはサンド二でシルビオ·ガザニガ(Silvio Gazzaniga【1921年1月23日生-2016年10月31日没】がデザインした黄金のトロフィ-を掲げるジズ-とディディエ·デシャン:Didier Deschamps【1968年10月15日生】にアズ-リの主役級を揃えながらも超国家選抜の前に敗れたビアンコネーリ。この試合白い巨人は、自国スペインを含む欧州六ヶ国の代表に南米二強から一名づつ、クロアチア代表ダヴォール·シューケル:Davor Šuker【1968年1月1日生】が途中出場で九ヶ国目。それまでのFIFAワールドカップ優勝国が世界最強の概念は崩れた。かつて香辛料貿貿と、キリスト教布教を目的に東アジアに進出したスペイン。トヨタカップではポルトガルの偉大な探検家バスコ·ダ·ガマ:Vasco da Gam【1524年12月24日没】の名前を冠するクラブ相手にラウルのゴ-ルで勝利。超国家クラブが群雄割拠する新たな時代の扉が開かれた。
そのボスマン判決から三十年の節目を迎えたから光陰矢の如し。
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さて十九年ぶりの頂上決戦。レアルはクリスティアーノとベンゼマのツ-トップ。その下にはイスコが入ったから、いつ地元の英雄が投入されるのかが気になるところ。1-1で折り返し、千両役者がこの日二点目で3-1。ここでようやくベイル登場。但しアディショナルタイムの得点で連覇を締め括ったのはベイルではなくマルコ·アセンシオ:Marco Asensio 【1996年1月21日生】。バスク人の父と 癌を患い2011年に他界したオランダ人の母。マヨルカ島出身のアセンシオとアンダルシアのイスコ、この二人の存在が極めて重要。マドリディスタでなくても、スペイン人が攻撃を司どらなければならない。
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