Foot ball Drunker〔142〕visiting 『Lotto Park』ブリュッセル / ベルギー


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マッチデープログラム表紙はユースから昇格したばかりの18歳のムベンバ。九年を経て現在はオリンピック·マルセイユの最終ラインに欠かせない存在。FCポルト時代にはユヴェントスとの120分の死闘を制しCLベスト8進出も経験。今季は予選でパナシナイコス相手にPK戦で敗退したもののUEFAヨーロッパリーグでは同じくギリシャのアテネを本拠地とするAEKに連勝。不調のアヤックスを一蹴。ブライトンと共にグループBを通過するとシャフタール·ドネツク、ビジャレアルCF、SLベンフィカと難敵を退け四強進出に大きく貢献した。

ベフェレン戦はキレのいい動きで好調のブルーノがどこかを痛めたらしく前半終了を待たずしてベンチに。プラエトも明らかに不調で2-0とリードを広げた後半24分に交代。二枚替えでアチェンポンともう一人のプレーヤーは背番号31。明らかに若そうだが筆者の脳内には全くインプットされておらずマッチデープログラムの最終頁を開いたが、名前の横にベルギー国旗が記されているだけで苦笑した。生年月日くらいは普通印字されているだろう。今のようにスマフォですぐ調べられるユーリ·ティーレマンスこの時16歳と7ヵ月。


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翌日の新聞紙面採点はアンデルレヒトの選手は軒並み高得点。6.5のムベンバは正確なクロスで二点目をアシスト。11節から八試合連続スタメンフル出場で3得点を記録している。本職の守備も身体能力だけでなく18歳にしてはクレバー。
オリンピック·マルセイユにはかつて同郷(※コンゴ·キンシャサ出身)の大先輩スティーヴ·マンダンダ:Steve Mandanda【1985年3月28日生】が在籍していた。2008から22年まで常にフランス代表栄光の歴史に名を刻んだ守護神。


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ムベンバが同様にベルギー国籍を取得すれば北京五輪黄金世代が去っても安心と勝手に期待していたが、後日衝撃の事実を知る。
彼は2012年6月アフリカネーションズカップ予選に17歳にしてコンゴ代表として出場していた。こうなると現状のレギュレーションではベルギー代表への変更は不可能。あれから九年、今月のワールド杯予選セネガル戦は1-1のドロー。確実に力をつけてきたコンゴ代表の主将章を巻くのは言うまでもなくムベンバ。30歳の誕生日を迎える前にキャップ数は80の大台に。ベルギー国内のコンゴ系住民は約8万人。コンパニ、ルカク、ティーレマンスもコンゴとの二重国籍を有する。
さて決勝トーナメントはフランス戦。たらればを言っても仕方ないが「ベルギー代表にムベンバがいれば」とならないベルギー守備陣の健闘をサポーターは願うしかない。[第142話了]


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⏹️写真/テキスト:横澤悦孝 ⏹️モデル:Akari