課題と収穫がハッキリした”ハリル流”
【FIFAロシアW杯アジア2次予選第8戦(最終戦)】
日本5―0シリア
〔得点者〕
<日本>オウンゴール(17分)、香川(66、90分)、本田(86分)、原口(93分)
オプションを確認したアフガニスタン戦から5人変更で挑むシリア戦
昨年6月に始まったFIFAロシアW杯のアジア2次予選もいよいよ最終戦。初戦でホームに迎えたシンガポール相手にまさかのスコアドローを演じた日本だったが、その後は6連勝でグループ首位浮上。最終戦を残してアジア最終予選進出条件である各グループリーグ2位での成績上位4チーム以上に入る事が決定。一時は東アジア選手権で史上初の未勝利での最下位に終わったヴァヒド・ハリルホジッチ監督への向かい風も弱くなって来た。
特に昨年の秋ごろから段階的に招集して来たMFの原口元気や柏木陽介、FW金崎夢生が結果を出す事で競争力も増して来た。その上で、今回はオランダ1部リーグで13得点と得点を量産している194cmの長身FWハーフナー・マイク、Jリーグで好調を維持するFW小林悠も招集され、「2年目はチームを固定していく」という監督の下でのアピールに注目が集まった。
前節のアフガニスタン戦では本田圭佑と香川真司が先発を外れ、逆に上記した原口・柏木・金崎が先発のピッチに立った上で新布陣の<4-3-1-2>で挑み、前半は新布陣に手間取って苦戦したものの、清武弘嗣がトップ下でスペースを見つけ出すと1ゴール2アシストの活躍で5-0の圧勝に導き、新たなオプションを確認できた試合となった。
迎えたシリアとのグループ首位通過を懸けた試合のピッチには、アフガニスタン戦を欠場した本田圭佑と香川真司が先発に戻るなど、前節から先発メンバー5名を変更。従来の<4-2-3-1>の布陣で右SB酒井高徳、MF山口蛍、FW宇佐美貴史が先発スタートとなった。
【マッチレポート】ハイテンポで圧倒 それでも仕留めきれない前半
試合前に他グループの結果により、シリアも最終予選進出が決まった中で迎えた試合となったが、ホームの日本が序盤から人もボールも動くハイテンポなサッカーで圧倒した。
シリアが引かずにプレスをかけて来たのは意外だったが、それでもCBの森重真人が司令塔であるかのように中盤をサポートし、両サイドへのロングフィードでゲームメイクを担った。サイドでは右の本田がタメを作りながらボランチのエリア内への飛び出しを活かして分厚い攻撃を仕掛け、逆サイドでは宇佐美貴史が個人能力の高さで数的同数・不利を感じさせない仕掛けを披露した。連携・連動を伴った上でのバリエーション、スピードがあるため、シリアはたとえボールを奪っても何もできない状態に陥っていた。
しかし、日本はそれでも17分のショートCKからの香川のシュート性クロスによるオウンゴールからの1得点しか奪えなかった。その時間帯、シリアの選手は必要以上にピッチに倒れ込んで露骨な時間稼ぎをしていたが、それだけ耐えきれていなかったからだろう。
なぜか前半30分を過ぎ、後半に入って元気になるシリアの選手の対応は不自然で褒められたものではないが、日本が30分間見せたハイテンポなサッカーは凄まじかった証拠とも言える。