同じ例では、アルゼンチン代表としてプレーし、スペイン1部リーグのバレンシアでも得点を量産したFWクラウディオ・ロペスも挙げられます。彼の場合は、香川やデル・ピエロよりも点取りのイメージが強い左利きの選手ですが、左サイドに流れてのチャンスメイクや右サイドに流れてからカットインするプレーを得意としていました。しかし、イタリア1部リーグのラツィオに移籍した時、バレンシアでの2トップの一角ではなく、ウイングを任された事で、得点にもチャンスメイクにも絡めないどころか、持ち前のスピードを活かした突破力さえ発揮できなくなりました。
つまり、左サイドでのプレーが得意だとしても、ウイング特有の間合いの中で足元で受けてドリブルで仕掛けるプレーと、中央からサイドのスペースへ流れてからボールをもらって仕掛けるのでは意味が違うという事です。
そして、それが宇佐美にも言える事で、僕は宇佐美を左ウイングに適しているなどと全く思った事が1度もありません。アギーレが<4-3-3>のシステムを基準にしてメンバーを選ぶとすれば、強いて適正だと思うのは、センターフォワードか、香川の左インサイドMFだと思います。と言うか、宇佐美のポジションはFWでもトップ下でもウイングでもなく、”USAMI”というポジションと特別の役割。そして、アギーレも特筆した個を活かす術は、それまで低迷していたアトレティコ・マドリーでディエゴ・フォルランとセルヒオ・アグエロに自由を与えたように、選手の特徴に合わせたチームを作れる監督だと言う事と、宇佐美はシステムさせも変えさせる強烈な個性を持つ選手だと言う事も併せて言っておきましょう。
また、アギーレ監督についても、これまでの日本代表全6試合で先発メンバーを<4-3-3>のシステムでスタートさせていますが、コレをずっと使い続けることもないでしょうし、アギーレが4-3-3のスペシャリストでも、執着しているわけでもない。敢えて試しているのは、アンカーを置く事でブラジルW杯の初戦でコートジボワールがFWディディエ・ドログバを入れて来た時、ドログバが入って来た事以上に、最前線にドログバとウィルフリード・ボニーの2人のストライカーが並んだだけでマークの受け渡しがパニックになった事を解消するためでないか?と思います。だからこそ、本職センターバックの森重真人をアンカーにしたがり、相手のFWの枚数によってアンカーがDFかMFどちらのラインに入るか選択するという簡単に言うと、”柔軟性”を身につけさせるためではないか?と。
そして、このアジアカップで宇佐美や大久保を招集する事で、システムも<4-4-2>や<4-2-3-1>も多用する事になるでしょう。宇佐美や大久保ほどの強烈な個性と得点力はシステムをも変えさせるモノ。それはある意味で劇薬なので、この時まで待ったのです。
「アジアカップメンバー23人を予想する
香川はクラブ優先で未招集が本人のため」
っと、無理矢理につじつまを合わせたような格好ですが、最後に僕のアジアカップ予想メンバー23人を予備登録メンバー50名と合わせて下記に掲載して締めたいと思います。
※○印が予想登録メンバー
<アジアカップ予備登録メンバー50人>
【GK】
○川島永嗣(スタンダール・リエージュ)
○東口順昭(G大阪)
○西川周作(浦和)
林彰洋(鳥栖)
権田修一(FC東京)
【DF】
水本裕貴(広島)
○長友佑都(インテル)
槙野智章(浦和)
○森重真人(FC東京)
○太田宏介(FC東京)
西大伍(鹿島)
安田理大(鳥栖)
○内田篤人(シャルケ)
○吉田麻也(サウサンプトン)
○塩谷司(広島)
鈴木大輔(柏)
酒井宏樹(ハノーファー)
○酒井高徳(シュツットガルト)
○昌子源(鹿島)
松原健(新潟)
植田直通(鹿島)