J1のヴァンフォーレ甲府は、チームを3年間率いた城福浩監督の後任として、昨シーズンまで横浜F・マリノスを率いていた樋口靖洋が来季の指揮を執ることを発表した。
城福氏が3年間、チームを率いた後での後任としての責任は重大ではあるが、おそらく彼が後任として選ばれたのは充分に理解できる。
それは、甲府というチームを率いる上で直面せざるを得ない、プロヴィンチャのチームとしての資金面、選手面で厳しさに目を背けることなく、現実路線に徹することが出来る、ということである。
FC東京の監督時代は『ムービングフットボール』を掲げ、ボールも選手も動くサッカーを指向していた城福氏が甲府の監督に就任して以降、その代名詞でもあったムービングフットボールを我慢し続け、それをもって成し遂げたのが二期連続でのJ1残留であった。その点、樋口氏もまた現実的な施策をチームに施せる人物である。
F・マリノスでは中村俊輔という卓越したFKを持つ選手を軸にチームを作り上げており、チームプレーなどは下手に行わせず、現実の戦力に即した戦術を徹底させていた。
そういう意味で、甲府のフロントの目は確かである。
問題といえば、スタメン固定によるチームの硬直化とテンプレ的とも言える交代の硬直化、およびその交代のタイミングが遅いことくらいであろうか?
しかしながら、チームの持っている戦力を的確に引き出す手腕には定評があるだけに、今シーズンの選手補強次第では充分に残留は可能だろうと見ている。
特にシーズンが終了してすぐの監督決定でチームにも選手のリストアップや慰留の時間は充分にある為、その辺りの問題も無さそうだ。
少しずつ、チームとして成長を続けていっているヴァンフォーレ。
次はサッカー専用スタジアムを用意することとなりそうだが、こちらもラグビー協会と共に県に動きをかけているようで、抜かりはない。
海野社長の下で冒険はせずにこつこつ前へと進み、いつの日か優勝の二文字を掲げる日が来て欲しいと、心から祈っている。