アジアチャンピオンズリーグ(ACL)もグループステージ(GS)を終了。日本のガンバ大阪は中国の広州富力、韓国の城南FC、タイのブリーラム・ユナイテッドと同居するグループFから参戦。
初戦から広州富力、城南に連敗。ブリーラムとのホーム戦となった第3戦も先制しながら同点に持ち込まれて終盤には逆転もありえた試合内容で1-1のドロー。この時点でグループ内唯一勝利のないガンバは最下位という絶望的な折り返し。さらにFWパトリックが折り返しの第4戦アウェイでのブリーラム戦に累積警告で出場停止となっていました。
2連敗の最下位から首位通過
その第4戦もブリーラムに先制点を許すどころか、シュート数19本対4本と圧倒される苦しい試合展開。しかし、不可解な?有利な判定も手伝って終盤の大森の得点で1-2と逆転での初勝利。続く第5戦の広州富力戦ではベストメンバーが揃った状態、勝点でもガンバと並ぶ相手は初戦のガンバに勝って以降は未勝利でGS突破に向けて勝利が絶対条件の中、早い時間帯で先制したガンバが前掛かりになる相手の裏をとって前半終了間際に一気に2点を追加。すると後半からは集中力の欠如から崩壊した相手に0-5で大勝。この広州富力の集中力の欠如は最終節でもブリーラム相手に5-0で敗れたのを考えても明らかでした。そして、この広州富力の崩壊が事をややこしくしまったGSだったように思えます。
迎えた最終節ホームでの城南戦。前半15分に城南に先制を許したガンバは前述のように、もう1つの会場ではブリーラムが大量リードで勝点10になる事が同時刻開催の大阪にも伝わっていたはずの状況。試合前の時点で勝点7のガンバに対して、首位の城南は勝点10。ブリーラムも10になるため、この試合で勝つしかなくなったガンバの形振り構っていられない後半がスタート。それなのに同点にも追いつけず、シュートにも至らず。58分までに2人の選手交代を行い、CBの岩下敬輔を投入し、丹羽を右SBに回すスクランブル体勢。それが最も形になって現れたのが、レンタル移籍から復帰した時点では“定位置”とされていた<4-4-2>の左サイドMFに回った宇佐美のポジション。その宇佐美の左サイドでの仕掛けの回数が増え、クロスが直接ゴールインする同点弾。75分には倉田を左SBのような位置で投入。82分にはCKから岩下の折り返しにリンスが押し込むという途中出場選手2人による得点で2-1と逆転勝利。
まさに“大逆転のガンバ”のGS全体の総括を編集したような試合が最終節の後半ラスト30分だったと思います。
Kリーグ勢としてはクリーンなFCソウル戦は欧州で飛躍するタレントの見本市
勝点10で並んだ3チームの当該チーム同士の直接対決の結果により、F組首位で通過したガンバの決勝トーナメント最初の相手はグループH2位通過のFCソウル。前回王者のウエスタン・シドニーFC、前々回王者で現役ブラジル代表のリカルド・グラウを獲得した広州広大、日本の鹿島アントラーズが同居する“死の組”と呼ばれる最難関のGSを突破してきた韓国が誇るビッグクラブです。
監督もジェフユナイテッド市原(現・ジェフ千葉)などJリーグでも大活躍した元韓国代表のエースFWチェ・ヨンス。もともと現在はイングランドでも活躍するイ・チョンヨンやキ・ソンヨン、ガンバ大阪でもプレーしたキム・スンヨンやイ・スンヨルを輩出した育成組織も評価されるクラブ。韓国のチームとしては珍しくテクニックやアイデアに優れるタレントが出てくるクリーンなサッカーをしてくるチームという印象。海外へ選手を輩出する一方で、2013年にはドイツを中心に11年海外でプレーした来たチャ・ドゥリ、最近ではクラブのOBでもあるFWパク・チュヨンを獲得するなど外国籍選手よりも、ベテランの韓国代表選手により経験値を注入するクラブの姿勢も独特のカラーが見えます。フィジカルバトルでないため、「韓国らしくない」と言われるものの、“新しい韓国”を象徴する新鋭集団と言えるでしょう。
また、宇佐美の公式戦デビュー戦デビューゴールで沸いた2009年5月の対戦でも、キ・ソンヨンやイ・チョンヨンがプレーしており、おそらくこの対戦からは両チームに近い将来に欧州でプレーする、それも活躍できる選手が登場する見本市としてもクリーンなイメージがあります。
そんな試合の模様は続編で。いったん失礼致します。