“世界3位”の底力で逆転勝利
【天皇杯準々決勝】
FC東京1-2サンフレッチェ広島
<得点者>
[FC東京]東(37分)
[サンフレッチェ広島]浅野(85、103分)
クラブW杯をチーム全体で戦い”世界3位”の座を掴み取った広島
今月初旬の明治安田生命Jリーグチャンピオンシップを制し、開催国王者としてFIFAクラブW杯への出場権を獲得したサンフレッチェ広島。クラブW杯では12月10日の開幕戦から11日間で4試合の過密日程下でオセアニア王者のオークランド・シティ(ニュージーランド)、アフリカ王者のマゼンべ(コンゴ)、南米王者のリバープレート(アルゼンチン)、アジア王者の広州恒大(中国)と対戦。
森保一監督はこの4大陸の王者と対戦するに際して、前の試合から先発メンバーを3度も6人変更するなど4試合で19人(先発起用は18人)の選手をピッチに送り出した。選手が入れ替わりながらも、“広島スタイル”のベースを体現しつつ、リーグ戦でも出番の少なかったMF茶島雄介やMF丸谷拓也、DF宮原和也などの若手の個性も引き出す事によるチームの総合力で“世界3位”の座を掴み取った。
若手はもちろん、サンフレッチェのチーム全体が手にした自信はチーム作りを大きく底上げした。それは結果以上に大きかったはずだ。また、選手個々が「世界」と対峙して感じた課題も見つかったはず。それが「国内」の舞台に置いてどう発揮されるのか?が筆者がこの試合で楽しみにしていた部分だった。
クラブ史上最多勝点のFC東京を相手にリバープレート戦同様の布陣を選択
“世界3位”の座を掴み取ったクラブ3位決定戦の広州恒大戦から中5日で迎えた天皇杯準々決勝。相手は今季のJ1リーグで4位のFC東京。実力が拮抗した相手にして予算規模では相手が上回っている相手に対して、森保監督が選んだのはクラブW杯の準決勝・リバープレート戦と同じ先発メンバーだった。
FC東京はイタリアの地方クラブであるチェゼーナで日本代表DF長友佑都はもちろん、イタリア代表へFWエマニュエル・ジャッケリーニ、MFエセキエル・スケロットなど短期間で多くの代表選手を見出してビッグクラブへ送り込んだ知将・マッシモ・フィッカデンティ監督が就任2年目。日本代表クラスが並ぶDF陣を筆頭に、現実的な試合運びでクラブ史上最多の勝点63するなど成熟したチームを相手には、長身FWの皆川佑介を先発にチョイスした上で、勝負所でエースFW佐藤寿人や今季の最優秀ヤングプレーヤー賞のFW浅野拓馬、MFミハエル・ミキッチという飛び道具を状況に沿って投入していくプランだと想像できた。
また、それが天皇杯では決勝まで中2日で3試合を戦わないといけない中でもベストな選択だったはずだ。