Wolf in Sheep’S Clothing.羊の皮を被った狼は、新約聖書に由来する慣用句。エスタディオのピッチ上で狼の群れが互いに牙を向き合う中、一匹だけ黒豹が混じって異彩を放つ。
◆◆◆◆
それがママ・サンバ・バルデ:Mama Samba Baldé【1995年11月6日生】の第一印象。試合前のウォームアップから放っていた獰猛そうな、得体の知れない迫力をこの写真から感じていただければ本望。
◆◆◆◆
試合前バルデの屈強な体躯を目の前にして勝手にエースストライカーをイメージしていたがスポルディングCP・Bチーム時代の2015年、チームの事情もあってかサイドバックにコンバートされた。アヴェスでも移籍当初は右サイドバックが定位置。ちなみにこの日は右ウイング。
羊の皮を被った黒豹の覚醒に目から鱗
しかし皮を被ったところでストライカーの本能は誤魔化せるものではない。
2019年にディジョンFCOに移籍してリーグ・アンデビュー。2022年ESTACトロワで迎えた2シーズン目、それまで両サイドや2列目に時折配置していたバルデをセンターフォワードに固定すると覚醒の時が来るべくして来た。
◆◆◆◆
ハイライトは13節。パリに乗り込んだトロワ。後半立ち上がりバルデのこの日2点目のゴールで再び突き放す。しかしこれが世界最強3トップに火を付け、寝た子を起こしてしまった。3分後M、その7分後にN、締めはキリアン・エムバペ:Kylian Mbappé【1998年12月20日生】と連弾を浴び最終スコアは4-3の惜敗。この試合だけ見れば降格が信じられない。
◆◆◆◆