Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/orfool/soccerlture.com/public_html/wp/wp-includes/post-template.php on line 293
no-image

順調なレアル・マドリーに対して崖っぷちのバルセロナ ~クラシコ勝敗の鍵はルチョの決断

 4月23日、いよいよ決戦の時を迎えるスペインの2強による“エル・クラシコ”=レアル・マドリーVSバルセロナ。

 スペインだけでなく、欧州の舞台でも度々ぶつかる両雄による伝統の一戦だが、今回はリーガ・エスパニョーラの第33節として対戦。舞台はスペインの首都・マドリードにあるサンティアゴ・ベルナベウ。言わずと知れた“白い巨人”=レアル・マドリーの本拠地だ。

 ラ・リーガは前節32節の終了時点で、勝点75のレアル・マドリーが首位。勝点3差のバルセロナが2位で迫っているが、レアル・マドリーは昨年末の日本開催でのFIFAクラブクラブW杯参戦やセルタ・デ・ビーゴ戦の敵地パライードスの屋根の破損による安全面の考慮で延期された試合があって、未だ消化試合が1試合少ない。その上で今回のクラシコもホームで迎えられる大きなアドバンテージがある。 

CL大会史上初の連覇とリーガの2冠が現実味を帯びる“ジダン・マドリー”

 さらに今回のクラシコ直前のミッドウィークにはUEFAチャンピオンズリーグの準々決勝第2レグがあったのだが、レアル・マドリーがドイツの絶対王者にして5年連続でCLべスト4以上のバイエルン・ミュンヘンを下して準決勝に進出したのに対して、バルセロナはイタリア王者のユヴェントスの前に完敗。2戦合計0-3という攻撃型のチームが無得点に終わったショックも大きいだろう。

 昨季のCL王者であるレアル・マドリーは、1996年からUEFAチャンピオンズリーグへと改編された欧州最高の舞台で大会初となる連覇の可能性が出てきており、リーガ優勝も1歩リードした状態だ。

 過密日程と負傷者続出によって停滞した時期もあったが、逆にそれを本来はベンチメンバーとなる控え選手や若手を有効活用できた事が選手層の拡充に繋がった。ギャレス・ベイル&カリム・ベンゼマ&クリスティアーノ・ロナウドによる3トップ=“BBC”の3人の欠場が多かった今季は、彼等に変わるマルコ・アセンシオ&アルバロ・モラタ&ルーカス・バスケスによる“AML”も大活躍している。

 中盤の守備を一手に引き受けるアンカー役のブラジル人MFカゼミーロのレギュラー抜擢を筆頭に、ジヌディーヌ・ジダン監督の就任以降の1年半で若返りながらチーム力が上がるという理想的な成長曲線を見せている。

 クラブOBにしてFIFA最優秀選手賞を3度獲得。現役時代はカリスマ的存在だったジダン監督。確固たるスタイルや相手を圧倒するような試合もあまりないため、未だにその手腕は疑問視されている。ただ、クラブのBチームの監督やトップチームのコーチを歴任して来た事が、トップチームの監督となって若手を抜擢してチーム力を底上げするのには有利に働いている。それはバルセロナ監督時代のジョゼップ・グアルディオラ(現・マンチェスター・シティ/イングランド)や現在のルイス・エンリケにも共通する部分だ。

 ジダン本人は「現役時代の実績は監督業では何も意味がない」と言うが、スター軍団であるレアル・マドリーの選手たちも「ジダンの言うことは絶対」と思えるほどの絶対的なカリスマ性によるチームマネジメントにより、チームの輪を構築した。

完敗でのCLベスト8敗退~ユヴェントスとの2年間の歩みに大きな差

 逆にバルセロナはCLベスト8で敗退。そもそもラウンド16のパリ・サン・ジェルマン戦でも初戦に4-0で敗れて敗色濃厚となっていた。第2レグの6-1で奇跡を起こしたが、試合巧者のイタリア王者を相手にしては、初戦で3-0の敗戦からの奇跡は起こせなかった。

 象徴的なのは、その敗退した準々決勝の相手であるユヴェントスとの直近2年間のチームとしての成長曲線の大きな差だ。

 2年前のCL決勝で対戦した両者はバルセロナの優勝で終えたが、バルセロナのルイス・エンリケとユヴェントスのマキシミリアーノ・アレグリという両チームの指揮官は、それぞれ就任初年度だった。

 ルチョ(ルイス・エンリケの愛称)は就任初年度でそのCLだけでなく、リーガとコパ・デル・レイの3冠を成し遂げる偉業を果たし、CLこそ準優勝に終わったアレグリも、セリエA(イタリア1部リーグ)とコパ・イタリアを制して国内2冠の3冠未遂という万々歳のシーズンを送っていた。

 あれから2年。バルセロナはほとんどメンバーが変わらずに停滞した。逆にユヴェントスは守備陣こそ固定してはいるが、攻撃陣はほぼ入れ替わった中で右肩上がりの成長曲線を見せ、今季は3冠の可能性が高まってきているチーム。2年前にはバルセロナに歯が立たなかったが、今はそれが完全に逆転した。

 ただ、ルチョのバルセロナは3シーズン目となっている現時点までに参戦した11の大会で8つのタイトルを獲得して来た。今季もCLで敗退してリーガでも逆転不可能かもしれないが、コパではアラベスとの決勝進出が決定している。就任前のシーズンが無冠だったのだから、結果だけ見れば全く批判されるものではない。

初年度の3冠はペップ後の延命措置?