Warning: count(): Parameter must be an array or an object that implements Countable in /home/orfool/soccerlture.com/public_html/wp/wp-includes/post-template.php on line 293
no-image

現在の日本代表にとって最適な監督=アギーレ

現在の日本代表にとって”最適な監督” 〜”現実的”というより”実戦的”なチーム作り

 グループリーグが終了し、危なげなく“中東包囲”を突破した日本代表。大会が開幕後も八百長疑惑に揺れているハビエル・アギーレ日本代表監督ですが、監督としてのピッチ内外での仕事に関しては完璧と言える仕事ぶり。誰にも文句を言わせないという、まさに“本物の監督”といった振る舞いを見せています。

 試合の流れを読んだ選手交代などの采配面、チーム全体の守備意識の徹底と攻守の切り替えの速さ、<4-3-3>で入りながらも攻撃時は<3-4-3>へと陣形を変える可変型システムの採用・運用というピッチ内の仕事は3戦全勝で7得点無失点という完璧な数字。

 そして、意外にも“現実的守備意識の徹底”というイメージが先行しているものの、実はボール支配率も3試合連続で60%超えという数字まで記録。スペインリーグでは堅守速攻型のチームを作っていたものの、もともとはパスサッカー志向で主導権を握るサッカーを好む傾向にあるのはメキシコ人監督らしい趣向です。アギーレ監督にとっての現実的とは結果最優先ではあるものの、それ以上に自分達に何ができるかを掌握している事が大前提。だからこそ対戦相手によってライン設定や戦略も変化するのでしょう。それ故にこの大会で、この選手達で効率的に勝つのはこのサッカーなのでしょう。

 その上で、ボール際の競り合いを誰もが逃げずに闘える、というアギーレのチームに共通する部分はすでに植え付けた模様。まだ就任後9試合、公式戦は3試合に過ぎないアギーレジャパンですが、“日本代表史上最もボール際の競り合いが強いチーム”になっているとは言えます。

 ピッチ外でも、本田の「バスケットボールのジャッジみたい」とレフェリーに対する侮辱による罰金処分に関しても、チーム全体でミーティングを開いた模様。特に日本だけが罰金や厳しい判定で苦しんでいるのではなく、大会全体を通してこの傾向が強い事を悟っているのでしょう。アジアの主審が悪いかどうかではなく、大会前に審判団に対して今のような傾向でジャッジしていくアナウンスがなされているであろうことをアギーレ監督は察知し、それを選手達の間で共有したのではないでしょうか?

 他にも厳格そうに見える一方で、多くの選手が美容室に行ってカットやカラーリング(乾の金髪は『ドラゴンボール』で言うと悟天にしか見えません。本田は悟空か?)をしたりなどリラックスできるように自由も与えてくれる監督のようです。

 アギーレが歴代の日本代表で最高の監督かどうかはともかく、ブラジルW杯で惨敗した日本代表が、現実を見つめ直しながらも持ち味は捨てずに勝負強いチームを作るためには、“最適な監督”であると言えるでしょう。あれだけボールを失った後に緩慢だった、あるいはトップ下のポジションに拘った本田と香川が、今では別のポジションでスライディング上等で身体を張って攻守の切り替えの速さを率先している姿が、アギーレ監督のチームを象徴していると言えるでしょう。

 戦術がないようにも見えますが、それは参考書を読みながら勉強するのではなく、問題集を解きながら学力を上げていくようなアプローチを“アギーレ流”と表現できるからではないでしょうか?

 つまり、“現実的”というよりも“実戦的”な監督という事でしょう。