オリエントとギリシャ、異なる文化が交叉する位置で繁栄したキプロス第二の都市リマソ-ル。聖地エルサレムの奪還のための十字軍。前線基地として島を占領することを決めたイングランド軍が上陸した地がリマソール。こうして十字軍に征服された後は、エルサレム王家の末裔が統治した十字軍国家キプロス王国(1192〜1489)の宮殿が建てられた。リチャード1世:Richard I【1157年9月8日生-1199年4月6日没】が結婚式をあげたという城砦の教会や宮殿跡の遺構は今や観光名所に。
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第126話は同市のアルファメガスタジアム。あの日あの時は■2024年2月26日キプロスファーストディビジョン:チャンピオンシップグループ第一節アリス·リマソール対オモニア·ニコシア。この試合は実際にピッチサイドで撮影している。収容人数一万七百人。リマソールの三つのクラブ、AEL/アポロン/アリスが本拠地として使用しているのがアルファメガスタジアム。
UEFAスタジアムのカテゴリー4の基準を満たすキプロス初のスタジアムは2019年1月の起工。正式な落成式は2022年11月25日に催された。2021年夏、ベラルーシ人投資家がクラブを買収し、キプロスサッカー界の強豪に育て上げようとかつてRBライプツィヒのアカデミーで働いていた同胞のアレクセイ·シュピレフスキー:Aleksey Shpilevsky【1988年2月17日生】(上写真)に白羽の矢を立てたのが奏効する。
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2022-23シーズン悲願のファーストディビジョンで優勝しUEFA チャンピオンズリーグ予選ラウンドへの出場権を獲得した。このシーズンはチーム得点王のアレクサンドル·ココリン:Aleksandr Kokorin【1991年3月19日生】をはじめ四人がリ-グベストイレブンに。そのココリンはベルゴロドの東百五十キロ、ウクライナとの国境までは十五キロしかないヴァルイキの出身。FCロコモティフ·モスクワのユースでU17代表に選ばれ、2008年にFCディナモ·モスクワでトップデビューするとロシア·プレミアリーグの最年少得点記録を更新し将来を嘱望されたストライカー。’16年に、FCゼニト·サンクトペテルブルクへと移籍。’18年に泥酔状態での暴行の罪で収監され謹慎処分に。’20年スパルタク·モスクワで復帰。フィオレンティーナでは負傷が重なり’22年6月にアリスリマソールへレンタルから完全移籍して今季もプレー。
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一方ニコシアのセカンドストライカーはロマン·ベズス:Roman Bezus【1990年9月26日生】。ウクライナ·ポルタヴァ州のクレメンチューク出身。ドニエプル川沿いの都市はキ-ウとドニプロのほぼ中間に位置する。ココリンの故郷ヴァルイキから四百五十キロと比較的近い距離。「いやいや四百五十キロは東京~大阪より遠いでしょ。」と言われてしまえばその通りなのだが、ヴァルイキからモスクワまでは七百二十キロ、またクレメンチュークからリヴィウまで七百八十キロはある。やはり圧倒的なロシアの国土面積とフランスに広さでは勝る欧州第三位のウクライナ。ちなみに二位のカザフスタンがAFCからUEFAに転籍したのは2002年。サッカー以外の話になると欧州なのかアジアなのか微妙なところ。中国とも密接な関係にあるからEU加盟は眼中にない。
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もう一人だけ気になったのはアリスの最終ラインに見覚えのある31番。フランツ·ブロルソン:Franz Brorsson【1996年1月30日生】。中学年代からマルメFFのユ-スで磨かれた元スウェーデン代表。但し二年半前に下写真を撮影したのはサンクト·ペテルブルク。ゼニトとのUEFAチャンピオンズリ-グアウェー戦だったのでロシアとの因縁を感じた。
試合は前半三十分ハンドの判定でPKを獲得したのはオモニア。ベズスが決めると、六分後にフランス生まれのカ-ボベルデ代表ウィリー·セメド:Willy Semedo【1994年4月27日生】が追加点。1-2でアウェーチ-ムの勝利。
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