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ベジェリン、コクランに続いてイウォビを輩出したアーセナル育成機関の実情

 ベジェリン、コクランに続いてイウォビを輩出したアーセナル育成機関の事情

 イングランド・プレミアリーグで2試合連続のロンドンダービーを共に先行する試合展開からドローに終わったアーセナル。

 
 しかし、3月のUEFAチャンピオンズリーグ決勝ラウンド1回戦第2レグのバルセロナ戦で物怖じせずに印象的なプレーを見せた19歳のナイジェリア代表FWアレックス・イウォビが大ブレイクしている。
 
 プレミア初先発となった3月のエヴァートン戦から2試合連続得点を含む3試合で2得点2アシスト。アーセナルでは突如現れる若手が大ブレイクしていく姿は毎年恒例とはいえ、FAカップとCLでの敗退により、著しく士気が下がりそうだったチームに大きな刺激を与えている。

“稀代のファンタジスタ”叔父・オコチャに対して、現代型のイウォビ

 そんなイウォビはナイジェリアサッカー界のレジェンドだった“ジェイジェイ”・オコチャ氏を叔父に持つサラブレッド。

 ナイジェリア代表は1996年のアトランタ五輪では“マイアミの奇跡”を起こした日本を下すなど2勝1敗でグループリーグを突破。(日本、ブラジルも共に2勝1敗で並んだ末に得失点差で日本が敗退)決勝トーナメントでもメキシコ、ブラジル、アルゼンチンという強豪国を下して金メダルを獲得。2000年のシドニー五輪で金メダルを獲得するカメルーンと共にアフリカ旋風を巻き起こしたチームだったが、オコチャは22歳で挑み、金メダルを獲得したアトランタ五輪はもちろん、W杯でも1994年のアメリカ大会、1998年のフランス大会に続き、2002年の日韓大会と合わせて3大会連続で出場。しかも全大会でナイジェリア代表の背番号10を着てトップ下としてプレー。間違いなく、「ナイジェリアサッカー史上最高の10番」と語り継がれる選手だ。

 アフリカ人選手特有のリズムとテクニック、スピードを兼ね合わせたドリブルはアート作品のようで、ボールをまたぐシザースというフェイントの組み合わせ方が凄まじく、ボールをまたぐスピードが速いだけでなく、内側からも外側からもまたぐのを同じプレーの中に混ぜ合わせられる稀有なドリブラーだった。球離れが良いとは言えないものの、頻繁に足裏を使ったキープやパスセンスも持ち合わせた“稀代のファンタジスタ”として観客を魅了し、筆者もワールドカップを初めてリアルタイムで観戦した時に最も衝撃を受けた選手だった。

 叔父・オコチャのような独特のリズムやセンスも持ち合わせる甥のイウォビだが、若手の育成に関しては世界最先端とも言えるアーセナルに幼少期から所属しており、現代サッカーのエッセンスも吸収している。

 パスセンスも備えた球離れの良いイウォビはオコチャほどの独創的なプレーは魅せないが、プレミア初先発から3試合連続で得点に絡むなど“効率的”にプレーできる大人な選手だ。同じ2列目にチームの2大スターであるドイツ代表MFメスト・エジルとチリ代表FWアレクシス・サンチェスにも遠慮しない部分を見ても、メンタルの安定している選手だと言える。

チームよりも個人を育てる育成メソッドにかつてのライバル達も共感

 そんなイウォビを輩出したアーセナルのアカデミーの現状はと言うと・・・実はあまり結果が出ていない。“育成”をどう捉えるか?で定義は変わって来るが、優秀な若手選手を次々と輩出するチームであるアーセナルのその多くは17歳前後のティーンネイジャー選手の“青田買い”だった。

 現在のトップチームで活躍するウェールズ代表MFアーロン・ラムジーにしても、イングランド代表FWセオ・ウォルコットにしても、それぞれ18歳・16歳の時にアーセナルと契約したが、両選手ともすでに元のクラブであるカーディフ・シティとサウサンプトンのトップチームでブレイクしつつあった選手。彼等は下部組織を経ずにトップチームに帯同した選手だ。

 確かに、クラブがアカデミーからトップチームまでに共通する“アーセナル・ウェイ”を優秀な若手選手に植え付けて育て上げる術は高く評価されるべきだ。しかし、10代の若者が個人のアピールに比重がかかる傾向が強いのか?現在のトップチームで10番を背負うMFジャック・ウィルシャーを軸とした2008-2009シーズンにリーグとカップの2冠に輝いて以降、U18チームはリーグ最多の5度の優勝を誇りながら昨季をリーグ最下位。今季もここまで僅か1勝で下から2番目の順位に甘んじている。また、プレミアリーグの控え選手やアカデミーからの昇格選手で構成される「U21プレミアリーグ」に置いて、現在のアーセナルは2部リーグに所属している事がその象徴だ。(現在2位で来季1部昇格濃厚。)