KNVBカップ連覇へ向けて視界良好
ところがズヴォレの攻勢はさらに続き、後半開始早々の48分でした。左サイドでのスローインをクイックスタートし、途中出場のFWライアン・トーマスがバイタルエリアでスローインのボールを受けると、浮き球で相手DFライン裏へスルーパス。このボールの落ち際をトップ下というよりも、“4人目のFW”となるイェスパー・ドロストが左サイドの難しい角度からダイレクトで左足を一閃。アヤックスのオランダ代表GKヤスパー・シレセンの手元で鋭いドライヴ回転で落ちるシュートが逆サイドネットに豪快に決まってズヴォレが遂に先制。1-0。
その後もズヴォレが攻め込み、GKと1対1のビッグチャンスまで再び作ったものの決めきれず。次第にキックオフからハードワークしてきたズヴォレの選手に脚を攣る選手が頻発。するとアヤックスは昨季のリーグMVPでもあるデンマーク代表MFラセ・シェーネやアイスランド代表FWコンべイン・シグソールソンという主力攻撃陣を投入。それでも何とか跳ね返して古巣相手に闘志を燃やすルコキがカウンターからチャンスを迎えていたのですが、ルコキも痙攣の影響でシュートが弱く追加点を決められず。最後は執拗にサイドからの攻撃でクロスやセットプレーで強引に仕掛るアヤックスが89分にCKからのシュートを防ぐも、クリアしきれなかったボールを途中出場のシグソールソンに蹴り込まれて1-1のドロー決着。
それでも、対アヤックス戦に関しては5戦無敗としたズヴォレにとっては内容的に積み上げが感じられる試合でした。昨季も「KNVBカップ決勝前の3試合を準備として使った」というヤンス監督の下、その決勝でアヤックスを5-1で破ったズヴォレにとっては視界良好と言える試合でした。
オランダに置けるタイトルの歴史というのは、プロ化した1956年以降の今季までの59シーズンで、“3強”と言われるアヤックス、PSVアイントホーフェン、フェイエノールトの3クラブが実に53回のリーグ優勝を果たす独占状態。3強以外のクラブにとっては高嶺の花となっています。KNVBカップではリーグ戦ほどの偏りはないものの、3強以外のクラブが大会を連覇するとなれば歴史に名を残す偉業で、それをエールディビジ再昇格に8年を費やした小クラブ=ズヴォレが最昇格後3シーズン目で王手をかけているのです。
連覇を目指すKNVBカップ決勝・フローニンヘン戦が俄然、楽しみになって来ました☆