57分には右サイドの高い位置で相手のスローインを奪うと、バイタルエリアを横切るように香川がドリブルし、ボックス内へ駆け上がった山口蛍へスルーパス。GKを引き付けた山口が中央へ折り返し、岡崎慎司が無人のゴールへ流し込んで、0-4。
60分には本田と原口が細かいワンツーを駆使して中央突破。本田が強引にボレ—を狙ったシュートは防がれるも、そのこぼれ球をゴール前に詰めていた香川が右足ボレーで流し込んで0-5。
これで大量得点差ができ、70分に宇佐美貴史、76分に武藤嘉紀、81分に遠藤航を投入する余裕を見せたハリルホジッチ監督。73分には左サイドから香川とのワンツーで抜け出した途中出場の宇佐美がドリブルでサイドを完全に突破し、ゴール前へグランダーのクロス。本田がDFやGKともつれながら押し込んだゴールが決まって0-6に。
選手交代が遅く、しかも原口が右SBに緊急コンバートする意図が伝わり切らなかった事、すでに先発メンバーが固定され、1年前に戻っただけ、との指摘ももっともながら、やっと我等が日本代表に“日本スタイル”で活気が戻った圧勝劇でした。
また、これまで2列目の選手の中で最もアピールをしていた原口を先発に抜擢したことは、アピールした選手を公平に評価している証。メンバー固定化の中にもアルベルト・ザッケローニ監督時代とは違う部分も感じさせた事をプラスに捉えられるでしょう。
9月の日本代表シリーズはこれにて終了。次回は10月に入ってから8日にW杯予選第4戦、アウェイでシリアと対戦します。またもや政情不安で自国開催ができないため、オマーンでの開催となります。そして、13日には強化試合として、この日と同じスタジアムでイランと対戦する予定となっています。
【選手採点&寸評:独断MOMは香川】
選手 | 採点 | 一言 |
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GK西川周作 | 6.0 | ポジショニングが良く、クリアボールや裏へのパスを読んだ出会いの速いフォローでビルドアップのスムーズさに貢献。 |
DF酒井宏樹(70分まで出場) | 5.5 | 本田や長谷部との連携でサイド攻略を図ったが、またしてもあまり効果的ではなかった。アーリークロスを蹴らせて良いのでは? |
→FW宇佐美貴史(70分から出場) | 5.5 | ドリブル突破から本田のゴールをアシストして魅せたが、交代出場時にシステムや原口のポジション変更などハッキリと周囲に伝えずに混乱を招く。 |
DF吉田麻也 | 6.0 | カンボジア戦は彼が担った役割を森重が担当したが、逆にこの日は未然に相手の攻撃を防ぐカヴァーリングで貢献。 |
DF森重真人 | 6.5 | この試合でゲームメイクを担当したのは彼。そう言えるほど、サイドへの展開、ボランチとの絡み、前線への縦パスなど機転の利いた配球で圧勝に大きく貢献。守備でもミスなく強さも見せた。 |
DF長友佑都 | 6.0 | 黒子に徹する事が多かったが、原口をサポートする攻撃参加、ドリブル突破をフォローする動き、共に的確。左サイドMFは楽に仕事ができる。 |
MF長谷部誠(81分まで出場) | 6.0 | 中東の笛やブーイングにも心が整っていた”ミスター・コンステンシー(安定感)”。主将は彼しか任せられない。 |
→(81分から出場)MF遠藤航 | 5.5 | 出場した事こそが収穫。懸念はU22代表との兼ね合い。主将なだけに経験が多くなるのはプラスだが、U22を優先させて欲しい。 |
MF山口蛍 | 6.5 | 東アジア杯から一貫して安定したプレーを続ける。森重にビルドアップを任せて、セカンドボールを拾うポジショニングを意識したのも◎ |
FW本田圭佑 | 5.5 | 正直言って不発に終わったが、それでも意地の1ゴール1アシスト。森重のゴールをアシストした姿勢に大黒柱としての精神的な強さが見える。 |
MF香川真司(76分まで出場) | 7.0 | 身体のキレが良く、プレー内容も良いのに結果が出なかった今年。遂に数字に残る活躍。周囲を活かす役割も自ら得点を狙う役割も担える世界トップレベルの香川が戻ってきた! |
→FW武藤嘉紀(76分から出場) | 5.5 | 少ない時間でアピールしようとドリブルや動き出しで果敢にボールに絡む。これまでの原口のようだった。 |
FW原口元気 | 7.0 | 試合開始から左サイドから縦にも横にも積極的に仕掛けて攻撃のアクセントになった。右SBに回されて”日本のカイト”などと言われるかもしれないが、それだけ周囲へ好循環を引き寄せる利他的なプレーが光った。 |
FW岡崎慎司 | 6.5 | 香川や原口が掻きまわしてくれたため、割とゴール前での仕事に専念できた環境を活かして2ゴール。もはや替えが利かない不動の1トップ。 |