サッカー日本代表のアジアカップ敗退から数日が経った。
世間も少し、アジアカップ熱から覚めたといったところだろうか。多くのメディアで検証がなされているが、私は少し違った視点から検証をしていく。
ある人から見たら「戦犯さがしゲーム」をしているかのような印象を受けるだろうが、決してそうではない。
決勝トーナメント一回戦敗退は、PK戦であれ言い訳にできない。そして、検証の仕方に一つの疑問がある。それは「個」の検証が行われていない。大会前とあるTV番組を見ていたら、フォーメーションは「4-2-3-1」が良いとか、「4-3-3」が良いとか、作戦ボード上の議論がなされていた。
確かにサッカーは戦術が大切である。戦術からベースを作るのかもしれない。
しかし、その戦術を実行するのは誰か。選手たち、「個」である。J1リーグのサンフレッチェ広島や、浦和レッズのように、異質な戦術を採用している場合を除いて、戦術は勝敗に大きく左右しないと私は考えている。
本田圭佑はかつて、会見で「個のレベルアップ」を求めていた。
2014年ワールドカップを通過した後の会見(2013年6月)で述べていたことである。
「結局のところ最後は個で試合を決することがほとんど。チームワークは生まれ持った能力なので、どうやって自立した選手になって個を高められるか」と訴えていた。
あれから、2年。個は高まっているのだろうか。
個に注目しよう。
アジアカップ決勝トーナメント一回戦、UAE戦。失点の場面。絶対に試合立ち上がりは失点をしてはいけない。特に格下相手には。相手の守りの意識が強くなり、相手の陣形を崩せなくなる。その場面で前半開始早々失点を許した。そのシーンを振り返ると、DF陣のDFラインの乱れからである。
「それは個人でなくてチームの問題でしょ?」、と思うかもしれない。
ただ、DFラインというのは誰かを基準にして形成するものである。つまり、CBのどちらかを基準としてDFラインの高さを設定している。おそらく吉田麻也がその役割をしていただろう。
また、逆に日本代表が同点に追いついた場面。本田圭佑のポストプレーから柴崎岳がミドルシュートを決めたシーンだ。柴崎にスポットを当てる。この場面、ペナルティエリア前でパスを出すこともシュートも打つこともできる。同点においつくまで、日本代表は枠内シュート数が少なかった。その状況下で、柴崎岳は枠にボールを飛ばし落ち着いてゴールを決めた。しかも、あの場面で確実なパスを選ばず、シュートを放ったことは評価できる。柴崎の個の判断が勝ったのだ。
戦術も確かに重要だ。もちろん、今回の敗因としてスタメンを固めすぎて、コンディションを落としたのも問題かもしれない。
ただ、それで「個」の検証をおろそかにしてもいいのだろうか。いや、そんなことはない。サッカーはチームスポーツだが、勝負は個の力が決するのだから。