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ポフラク氏から協会で働かないかと勧誘されたのが’97年。行政よりもスポーツに惹かれたシレル氏の協会入り当時の職員はたったの五人。そこからスタートし’12年まで書記長を務めると、事務局長へと昇進。文化省の協力を得て2020年から国内各郡に少なくともひとつフットボールの競技施設を建設する長期プロジェクトを始動。ラプラ·ケスクリンナ学校の隣に建設された施設の建設費用は総額二百七十万ユーロ強。そのうち百五十万ユーロは文化省からの助成金、エストニアサッカー協会からの拠出金は十万ユーロのみ。放映権料を収入源に運営されていたかつての協会。今でこそテレビ放映権はどの国と対戦しても同額に改善されているが、当時は抽選結果が財政に直結していた。イングランド、イタリア、スペイン、フランス、ドイツなど過去世界一を経験している強豪人気国との試合が組まれれば当然視聴率は高く、極端なところではベラルーシとドイツとの試合では、放映権料の差は百倍もの開きがあったから死活問題だった。
’92年から本格的にスタートしたものの、あらためてエストニアのような小国とスポンサー企業からの百億円を超える協賛収入に支えられる我が国を比較するとその差は歴然としている。
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さて来年のFIFAワールドカップ北中米大会。日本代表の目標は過去四回挑んで弾き返された八強の壁。おそらくサッカーに知識と興味がない方はベスト16までいけて、あと一勝ができないのか不思議に感じていることだろう。今更ではあるが伝統の重み、トーナメントとはいえ四年に一度開催の世界一決定戦は間もなく百年を迎える。過去二十二回の開催で優勝国は西ドイツとドイツをひとつにまとめても八カ国しかない。黎明期に優勝した古豪ウルグアイは今ではワンランク落ち、そこに’16年のユーロ制覇以降、UNLのタイトルも二度獲得したポルトガルを入れるべきか。順当に勝ち抜くとして、この強豪の一角を崩さなければベスト8に入れないし、オランダやクロアチアの欧州セカンドグループ、またアフリカで成長著しいモロッコや南米の三番手の列強と日本は鎬を削らなければならない。
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ベスト8の先に見える世界 日本代表は欧州に認められ 壁の向こう側に踏み込めるのか
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然しもしも八強入りを実現できれば日本代表を取り巻く環境が激変する可能性はけして低くはない。現状‘26年もロシアがUEFAの大会にする参戦するかは不明でも全試合不戦敗でも名前は残る。来秋から開催されるUNLはAからCは16チームを四組にスッキリ収まるのだが、グループDが計六チームしかない。
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十チームは無理でも、最低でも二チームが加えたいのがUEFAの本音。事実’21年にUEFAはブラジルとアルゼンチンとの交渉に乗り出し、副会長は地元ポーランドメディアに参加決定と先走ったが実現まで至らず。昨年の欧州王者スペインと南米王者アルゼンチンのフィナリシマこそ来年三月カタールでの開催は決定しているものの南米としては世界最古の伝統を誇るコパ·アメリカ開催にプライドと拘りがある。仮に日本代表が世界の八強入りができればUNLの最上位Aグループへの参加も現実味を帯びてくる。筆者は日本代表が将来的にワールドカップ優勝を目指すのであれば欧州でプレーする選手で欧州に本拠地スタジアムを設け、欧州での公式戦の経験が必須だと考えている。欧州リーグでの日本人の活躍次第ではデユッセルドルフ以外にも準本拠地候補は増えていくだろう。
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