◆◆◆◆◆
一方のパクシュはワントップにこちらも新戦力のバルナバーシュ·
ヴァルガ:Barnabás Varga【1994年10月25日生】を起用。実は21-22シ-ズン同クラブでアーダーム·マルティン:Ádám Martin【1994年11月6日生】が31ゴールの驚異的なゴール数で 得点王を獲得しており、この髭面のストライカ-はタイトルを手土産に韓国の蔚山HD FCへと移籍してしまった。その後釜に据えたヴァルガもまた大当たり。26ゴールで得点王の栄誉に輝きパクシュからは二年連続となるタイトル受賞者の輩出。翌’23年のEURO予選ブルガリア代表戦ではマルティンとの途中交代でハンガリー代表デビューも果たす。この試合では四日前の親善試合エストニア戦に続き公式戦初となるゴールを左足で決めているのがマルティン。代表デビューこそ同年齢のホレンデルとマルティンに遅れを取ったもののここからのヴァルガの凄まじい巻き返しが始まった。六月から十月に掛けてのEURO予選。リトアニアとセルビア相手のH&A四連戦。代表初ゴールを皮切りに四試合連続ゴールと爆発。十一月のブルガリア戦こそ負傷欠場により記録がストップしたとはいえライバルのセルビアに連勝。予選突破に大きく貢献したから本大会三試合でもスタメンを確保。初戦のスイス戦でもゴールを奪って現在もハンガリー代表のエ-ス格に。
◇◇◇◇◇
◆◆◆◆◆
実際に撮影したなかで、ヴァシャシュのユ二フォ-ム姿で印象に残っているのが下写真マルティンの右隣のキッカ-。アルジェリア出身のモハメッド·レミリ:Mohamed Remili【1985年5月31日生】。ネムゼティ·バイノクシャーグ1部で二百十八試合に出場。ヴァシャシュでの出場はカップ戦や二部での二シ-ズンなども含め計百七十五試合を記録している。’14年に主将章を腕に巻いた背番号十は左ウイングながら開幕六試合連続ゴ-ル。10G1Aと二部とはいえ圧倒的な数字を叩き出し存在感を示した。
代表の九番 朝鮮半島に上陸
◇◇◇◇◇
写真左のマルティンはブダペスト出身。2009年にヴァシャシュのユースチームから’12年にトップデビュ-。’19年までの十年間在籍し計百五十二試合に出場、三十一得点を記録した。ユ-ロ終了後マルティンはギリシャのアステラス·トリポリスFCを退団。年明けからはパクシュでプレ-しており明日にはUEFAカンファレンスリーグ三次予選を控えているので、こちらも楽しみ。
さて、2022年Kリーグにシーズン途中八月から参戦したマルティン。東アジアの夏新しい環境でのチャレンジは七日の天王山、首位蔚山と二位全北現代モータースとの試合こそベンチから戦況を見つめるだけに終わったものの次節大邱FC戦では1G1A、続く金泉尚武戦でも二得点の活躍。このシ-ズンは九試合で5G2Aの数字残しており、全北現代モータースの六連覇を阻止して通算三回目となるKリーグ制覇にも其なりに貢献できた。
◇◇◇◇◇
電気で一発逆転の中国自動車メ-カ-が欧州の拠点をブダペストに
◇◇◇◇◇
全北現代の親会社は今や日本のトヨタ、ドイツのフォルクスワーゲンに次ぐ世界第三位の現代自動車:Hyundai。言われてみれば確かにここ数年、欧州で同社製のコンパクトカーを見掛ける回数は増えている。蔚山で稼働する製造工場は世界最大の規模らしい。
◇◇◇◇◇
◆◆◆◆◆
前述のATLの車載バッテリー部門からの独立新会社、寧徳時代新能源科技:CATLが福建省を拠点に創業されたのは2011年。現在221ヘクタールもの広大な敷地に工場を建設している場所がハンガリー東部、ブダペストに次ぐ第二の都市デブレツェン。一方’23年二次電池式電気自動車の世界販売台数でアメリカのテスラを抜いて世界のトップに上り詰めた比亜迪:BYDは今春ブダペスト西部11区に欧州本社の設置を発表した。既に南部セゲドには工場を建設中、また北部コマーロムのバス·トラック工場にも設備投資をして拡大するのだとか。
ガソリン車では日韓独など先進国には歯が立たない。そこで政府主導によEV普及政策を実施することで、自動車産業での《一発逆転》に見事成功した中国。安くて粗悪な中国製の概念は今や通用しない。次回52話でも引き続きハンガリー&中国編をお届けする。〖第五十一話了〗
◇◇◇◇◇