宇佐美貴史の個人技は世界で通用しないレベルなのか?
6月10日に開幕したEURO2016フランス大会はポルトガルの優勝で幕を閉じた。
今大会は小国の躍進が目立った。特にベスト8に残ったアイスランドは人口僅か33万人(比較:沖縄県那覇市が32万人強))の初出場国だった。
彼らの躍進ぶりは各メディアでも一斉に取り上げられた。
そして、ベスト4まで勝ち進んだウェールズもまた初出場(国?地域?)だった。そのウェールズの看板選手でもあるFWギャレス・ベイルは、今大会で個人としては最も輝いていた選手だと言えるだろう。
そのベイルとその使い方を、このたびドイツのアウクスブルクへ移籍した日本代表FW宇佐美貴史と比較し、「卓越した個の使い方」を検証したいと思う。
左SBだったベイルが「エース」の特権で引っ張るウェールズ代表
今大会のEUROで2試合連続の直接フリーキックからの得点を含め、3試合連続得点を決めたベイル。現在はスペインの強豪レアル・マドリーでプレーしており、2013年にトッテナム・ホットスパーから加入する際には、(非公式で)120億円規模の移籍金記録を打ち立てた世界屈指のアタッカーだ。
現在のレアル・マドリーでは右ウイングやトップ下として得点に直結するプレーを続けるベイルだが、「イングランド最高の育成クラブ」であるサウサンプトンでプレーした10代や、トッテナム加入2年目までは左サイドバックとしてプレーしていた。2012年までは背番号が3番だったのは、そのためだ。
実は筆者もトッテナムの本拠地であるホワイト・ハート・レーンで2度の現地観戦をした事があるのだが、そのどちらの試合でも左SBとしてプレーするベイルがいた。
ベンチ入り選手が観客と談笑しながらウォーミングアップをしていた程、ピッチとスタンドの距離が近いこのトッテナムの本拠地。ピッチの左サイドでは常にトップスピードで上下動するベイルがいた。何が凄いって、90分経っても全くスピードが衰えないのだ。
そんなベイルの特徴は、レアル・マドリー加入初年度の初タイトルとなったコパ・デルレイ決勝のバルセロナ戦で最も顕れていました。凄まじく強度の高い試合だったにも関わらず、ベイルは85分という試合終盤でもスピードを落とす事なく約58mを1人で持ち上がって決勝点を挙げたのだ。
<2014年のコパ・デルレイ、ファイナルの決勝点>