Foot ball Drunker〔151〕visiting『Stadion Maksimir』ザグレブ/クロアチア

マクシミールを訪問したのは2017年12月9日。首位ディナモが9位NKイストラ1961を5-1のスコアで一蹴。アンテ·チョリッチ:Ante Ćorić【1997年4月14日生】は途中出場ながら得点を決めている。2014年5月当時17歳のチョリッチがプロ初ゴールを記録した相手もイストラだった。ASローマに移籍前、ザグレブでの最後のシーズンから六年が経過し現在は二部降格のルデシュにUターン。


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上写真右端3番はクロアチア代表のボルナ·ソサ:Borna Sosa【1998年1月21日生】。今回のEUROは控えにまわり出場時間はアルバニア戦の僅か6分のみ。ゴールをアシストしたカタランと抱擁を交わすチョリッチ。ソサも同年齢のオルモに負けず劣らず、この日アシストを決めており若手三人の躍動が目に焼き付いた。EURO初戦の再会では明暗を分けた旧友二人。3-0とスペインが一方的な展開でオルモは途中出場。対してソサはベンチを温めたまま、終了のホイッスルを聞いている。

昨日のイングランドとスペインによる決勝戦。前回PK戦でイタリア代表が歓喜する姿を目の当たりにしているだけに、心情的には
英側寄りのはずが、ダニオルモがボールが渡った途端にスペインを応援してしまう複雑な心境での観戦。

2014年夏にバルセロナからNKディナモ·ザグレブへと移籍し’15年2月にトップリーグデビュー。ザグレブで観たとき(当時19歳)は既に大人のプレーヤーとして完成されていた。翌18年に国内MVPを獲得するほどクロアチアで成長を遂げる。一年を通して温暖な地中海性気候のカタルーニャで生まれ育った少年が、雪の積もるザグレブと、お世辞にも設備を褒められたものではない同国地方都市のアウェースタジアムでのプレーを選択したことに畏れ入る。


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さて前回綴ったイタリア代表の低迷。前回述べたとおり五大リーグの中で外国人依存度は最も高い。それよりも今回招集されたメンバーにブラジル出身のジョルジーニョ:Jorginho【1991年12月20日生】以外国外のクラブに所属しているフィールドプレーヤーがいない方が気になる。
栄冠を勝ちとったスペインは、ラリーガだけでなくマンチェスター·シティとチェルシー、バイヤー·レバークーゼンとRBライプツィヒ、そしてパリ·サンジェルマンから選手を選んでいる。

フランス代表はパリ·サンジェルマンから5人、英/プレミア2、西/ラリーガ5、独/バイエルン2、ACミラン/ユベントス/インテルの三強から5人。ゴールキーパーのマイク·メニャン:Mike Maignan【1995年7月3日生】を加えるならば6人となる。
もし自分がロッソネロ信者ならば母国よりもフランス代表を応援したくなっている。若年層から戦術重視の指導の弊害なのか、国外でプレーするイタリア人の若手を見た記憶がない。一言で片付けてしまえば国際経験が乏しく精神的な逞しさで列強に劣っているのが現状。
ダニオロモのような自身の未来を見据え、勇気を持って厳しい環境を選択できる若者が増えれば、アズーリも変わるはず。故事成語のとおり、可愛い子には旅をさせるべきなのだろう。[第151話了]


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⏹️写真/テキスト:横澤悦孝 ⏹️モデル:大山成美