◆◆◆◆
コモは2016年の破産後、オークションにかけられ23万7000ユーロで落札したのは某有名フットボーラー夫人。クラブ名まで変えたものの僅か数ヶ月でまたも破産してどうにも救いようがない状態。
◆◆◆◆
2011年までは母国では、メジャーリーグレベニューを創設しMLSの副代表を務めていたマイケル·ガンドラー:Michael Gandler 【1977年6月13日生】氏。ニューヨークに生まれコネチカット大学で経済の学士号を取得、スポーツマーケティングの第一線で活躍してきた彼に白羽の矢を立て欧州へといざなったのはアメリカ人でもイタリア人でもない。
インテルの会長がエリック·トヒル:Erick Thohir【1970年5月30日生】からスティーブン·チャン=張康陽:Steven Zhang【1991年12月21日生】氏へと変わったのは2018年。トヒルがDCユナイテッドの株を購入した’12年当時、ガンドラー氏はIMGの重役を務めており’15年からインテルのチーフレベニューオフィサー=CROに就く。
◆◆◆◆
この「最高収益責任者」なる役職、日本では馴染みが薄いものの欧米では最近よく耳にする。CEOの下で事業の収益性を改善するため、幅広く柔軟にすべての可能性を検討する立場。クラブチームの場合、スポンサーシップ、ライセンス、チケット販売、その他グッズなどの小売まで俯瞰的な視線で、組織全体の指揮を執るのがCRO。
◆◆◆◆
2018年2月幕張メッセのイベントでは、「インテル·ミラノの最高販売責任者が語る!ブランディングとファン満足度向上のための戦略」と題して来日講演も。インテルの全ての事業分野における収益額を2倍から3倍に伸ばした敏腕CROが、トヒル-ハルトノのインドネシア大富豪ラインからセリエDに沈むクラブチームの再建を託されるというストーリー。そしてガンドラーは2年11ヵ月過ごした世界でも最も美しい湖畔を離れミラノに戻った。
ところでエリック·トヒル氏はインドネシア国営企業大臣として入閣の一方、インドネシアサッカー協会(PSSI)の会長職も。トヒル氏が自腹でボーナス支給をチラつかせる同国代表の未来は明るい。
◆◆◆◆
ガンドラー氏の新しい職場はレジェンド(2008年創立:本社ニューヨーク)の欧州を統括するレジェンド·インターナショナル社。英国のロンドン、リヴァプール両都市とマドリッド、ハンブルクの四都市に拠点オフィスを構える同社顧客には欧州の名だたるビッグクラブが名を連ねる。トッテナムの財務モデルやレアル·マドリーのオムニチャネル小売事業の開発、アトレティコ·マドリーの販売促進など手掛ける事業内容は幅広い。
まずマネジメントを改善し財務面を安定させれば評価額も上がると踏んで、米国資本の流入を促したイタリアカルチョ。世界の投資家に向けてアピールする作品としてだけでなく、娯楽ドキュメンタリーとしてもよく仕上がっており、投資家以外の方にもご視聴をお薦めする。
それにしても気になるのはイタリア代表の有り得ないほどの低迷。個性のあるタレントが育っていないのはかなり深刻。カテナチオにゾーンプレス、守備戦術に特化しているの同国の伝統。然し組織で守り、攻撃は個の才委ねるスタイルも変わらない。筆者がアズーリを支持したのも98年まで。かつてイタリアの恋人と呼ばれたファンジスタが去ってからというもの、タイトルを獲得しても煌めかず退屈な記憶しか残っていない。[第143話了]