ジュネーブ空港で搭乗を拒否されたのはそれから四ヶ月後の再訪問。航空会社のカウンタ-·スタッフは搭乗前に携帯電話から帰(入)国手続きを済ませていないから乗せないの頑固一点張り。そんなはずはない。こちらは三ヶ月前に成田空港で着陸後一時間待たされておりコロナ時の入国の面倒臭い流れは経験済。日本への帰(入)国への手続きはスイス人よりよっぽど詳しい。しかし口論している間に航空機は飛び立ち、半泣きで見送る羽目に。航空券代はドブに捨てられ、二日後のブリュッセルからの帰国便を慌てて手配。PCR検査の時間も含めると翌々日の便にせざるを得なかったのである。結局FLIXバスをパリで乗り継ぐことに。ジュネーブを発って暫くバスの車窓が何やら見覚えのある風景に。一昨日立ち寄ったトゥイリエールと目と鼻の先に停車した。
緑のバスを乗り継いで ブリュッセル空港でも間一髪
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検査官が乗り込み入念なパスポートチェック。国境まではまだ十キロ以上あるはずだが、そこはお国の事情、それともコロナの影響か。ジュネーブ~パリ間をローザンヌ経由で移動するのだから五百五十キロは越える。そしてパリからブリュッセルは三百キロ、両区間の合計八百五十キロに対して支払い額はなんと、たったの五十三スイスフラン。リーズナブルなFLIXバスに感謝なのだが、昨秋この格安バス会社はUEFAヨーロッパリーグとUEFAカンファレンスリーグの公式パートナーに名乗りをあげる。ちなみに次回七月にはベルンからイェーテボリを同社バスを乗り継ぎ移動する予定。車内二連泊に挑戦するのが実は楽しみ。
ブリュッセルでのPCR検査でも冷や汗をかかされた。空港で検査は速やかに終了。しかし日本国用の証明書を発行できるドクタ-が別の場所にいるので、メ-ルが届くのを只管待つ。綱渡りで何とか無事搭乗まで漕ぎ着けた。帰国して真っ先に成田空港職員に確認したが、自分が主張したとおり成田での手続きで問題なし。しかし頭を冷やせば航空会社のスタッフを責める気にはなれない。誰もが経験したことのない状況でパスポ-トを確認後、各国の異なる状況を短時間で調べての対応。気の毒なほど誰よりも過酷な作業を強いられたのは彼女達だったのだから。
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ボローニャで逝去したチョコレートの女王
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ブリュッセルだろうがパリだろうが、免税店で買う土産は毎回リンツのチョコレ-ト。イタリアのカファレル社も’97年もチューリッヒ州に本社を構えるリンツ&シュプルングリー社(Lindt & Sprungli)に買収されている。感染症のパンデミックで鬼籍に入った著名な高齢者は世界に多数。チョコレ-トの女王と称されたアンナ·マイアーニ:Anna Majaniもそのひとり。故郷ボロ-二ャでの悲報を二ュ-ヨ-クタイムス紙で知った。’85年に彼女が経営権を握ったときに株式の大半が既に売却済。所有権を取り戻すために自宅を抵当に入れると、息子とともに、次々と新しいアイディアで新商品を発表。傾いた老舗ブランドを見事復活させた敏腕女性実業家だった。
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バーゼル欧州での快進撃 元ローザンヌトリオが躍動
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’21年にニースはエンドイェを ロトブラウことFCバーゼルに貸し出すと翌年完全移籍。すると一年遅れて今度はブライトンがゼキリをバーゼルに貸し出す。そしてローザンヌからアムドゥニも合流。UEFAカンファレンスリーグ=ECL予選から四強までの快進撃は、この元ローザンヌトリオ抜きでは語れない。ECLベスト16の第二戦、ブラティスラヴァでの試合は前半を終えて二点のビハインド。アウェ-で絶望的な状況からアディショナルタイムにアムドゥニが奇跡の同点弾。PK戦まで縺れアムドゥニとゼキリは百二十分間、エンドイェも百分を上回る出場時間の消耗戦を制したのはスイスの雄。この試合がいかに壮絶だったのかは両監督に出されたイエロ-カ-ドが物語っている。同日ニースはホームでシェリフに3-1の完勝。1点のリードでディディエ·ディガール:Didier Digard【1986年7月12日生】暫定監督は後半十二分、三枚替えの荒業でロトンバもベンチに。
この結果準決勝は勝ち上がったバーゼル対ニースの隣国対決。敵味方に別れたとはいえ、元ローザンヌ·ユースの三人が初めてとなる役者揃いぶみのはず。しかし三月に負傷した足首が完治せずロトンバは無念の欠場となり残念ながらピッチ上の同窓会は流れてしまった。
’20年にロトンバ、’21年にゼキリ、年齢順どおりエンドイェも’22年とA代表に招集されており三年連続でユース出身者を送り出したのだから同クラブの育成部門もファンサポーターも鼻が高い。今季四人の中で唯一CLで見掛けることのなかったのがスタンダール·リエージュへと貸し出されていたゼキリ。先月の北アイルランド戦ではエンドイェと共にプレ-をしたがクラブでの試合は国内のみ。昨季はECL初戦でACFフィオレンティーナ相手に得点を決めた時はKRCヘンクに所属していた。
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それにしても今季新フォ-マットのCLは見事な現在の欧州の勢力分布とリーグレベルを表している。八強の椅子はスペイン、ドイツ イングランドで各二つを分けあい、残りがミラノとパリ。ベスト16で姿を消したのが英1独1西1仏1そしてオランダ2、残る二つがポルトガルとベルギ-のクラブ。結局四強は英アーセナルと仏パリ·サンジェルマン 伊インテルと西バルセロナに決定。フットボールの女神様は上手に振り分けている。