早々と幕を閉じたJリーグ王者のアジア挑戦
【AFCチャンピオンズリーグGL第5戦】
山東魯能1-0サンフレッチェ広島
〔得点者〕
<山東魯能>ジエゴ・タルデッリ(10分)
2連敗後の2連勝で盛り返しも 負ければ敗退の状況
昨季のJリーグ王者・サンフレッチェ広島は昨年末に行われたFIFAクラブW杯で3度も前の試合から6名もの先発メンバーを変更しながら“世界3位”の座を奪った。それを踏まえ、今季はAFCチャンピオンズリーグと明治安田生命J1リーグを並行して戦う過密日程に対して、クラブW杯で証明した「2チーム分の戦力」で挑んで来た。実際にここまでのACLの4試合では直前のJ1リーグから先発メンバーをそれぞれ6人・8人・6人・4人と大幅に入れ替えながら戦って来た。
しかし、ホームで迎えた初戦の山東魯能(中国)戦を21本のシュートを放ちながら1-2と落とすと、第2戦・アウェイでのFCソウル(韓国)戦で主将MF青山敏弘を帯同させずに4-1と惨敗。まさかの連敗スタートとなった。ただ、近年のACLで存在感を見せるタイリーグ王者のブリーラム・ユナイテッドとの連戦ではホーム・アウェイともに3-0,0-2と連続完封での2連勝。この日迎えた、「勝てば2位浮上、負ければ敗退」のアウェイ・山東戦に帳尻は合わせて来た。
直近のJ1リーグで開幕戦以来の負傷離脱から先発復帰したMF森崎和幸の活躍で勝利した広島だったが、その森崎和やMFミカエル・ミキッチ、FWピーター・ウタカが先発から外れ、今季公式戦初出場となるDF高橋壮也が右ウイングバックに抜擢されるなど、先発メンバーには直近のリーグ戦から5人の変更を経てスタートした。
【マッチレポート】届かなかった、遠かった1点
試合の方は、「勝てばGL突破決定」となるホームの山東が序盤から圧力をかけて来る。しかも初出場の高橋のサイドを最初から狙われた。スタジアムまで一体となった圧力はセットプレーでの身長差でさらに大きな差を生んだ。
10分、左からのFKをゴール前に放りこまれ、昨年までブラジル代表の最前線のファーストチョイスだったFWジエゴ・タルデッリに合わせられたシュートがゴールネットに吸い込まれて失点。タルデッリ自身は長身ではないが、この日の広島のメンバー構成上、最も得点力のある彼に適したマーカーを付けられなかった。
苦しむ広島だったが、初出場の高橋は何とか奮闘する。クロスはほとんどニアサイドすら越えないが、愚直にトライを続ける。そのトライのおかげで中央にスペースも出来た事で29分になって、この日チーム初めてのシュートをMF茶島雄介がミドルで狙ったが外れる。塩谷司の鋭いシュートもあり、何とか内容的に後半に望みを繋いだ。
意外にも選手交代なしで入った後半、高橋が常にトライし続ける。シャドーにボールが入り始める。MF柴崎晃誠、FW皆川佑介の投入で、支配力と攻撃の深さを増していく。セットプレーのキッカーを柴崎に替えて変化も加えていった。切り込み隊長のMF柏好文も投入して出せる策は出し尽くした。
しかし、クラブW杯時に「世界を紫色に染め上げたい」と宣言した途中出場の元日本代表FW皆川は、いつも通りに強力な起点となるポストプレーで流れを引き寄せたものの、自らが起点となって作った絶好機を大きく外す。