他会場よりも1日遅れて開催されたローマとラツィオのダービーマッチは2−1でローマが制した。ローマは今季開幕から5連勝と抜群のスタートを切り、ユヴェントスと優勝争いを演じる唯一のクラブだった。しかしローマダービーが終了した段階でのユヴェントスとの勝ち点差は26。
なぜここまで差が付いてしまったのか。来季のCLストレートインが決まったところで、ローマの問題点を見ていこう。
☆失速理由1:先制点を与えすぎた
多くの方がご存知の通り、今季のローマは引き分けが多すぎた。引き分けの数は13で、敗戦はたったの5だ。優勝したユヴェントスの敗戦数が3という事を考えると、今季のローマはやはり優秀だった。中盤戦での引き分けラッシュが無ければユヴェントスに付いていく事は出来たはずだ。
思えば引き分けラッシュが始まったのはラツィオとのローマダービーで、そこからパレルモ、フィオレンティーナ、エンポリと3試合連続で1−1のドロー。次節のカリアリ戦には勝利したものの、そこから再びヴェローナ、ユヴェントス、キエーヴォと3試合連続でドローが続く。
引き分けが大量発生した原因は、やはり得点力不足だ。今季ローマは2位でフィニッシュを迎えるが、総得点53はトップ5の中で最も少ない。首位のユヴェントスが70、3位のラツィオが67、4位のナポリが68という数字を見ても、53はかなり少ない(第37節終了時点)。
そのぶん失点数は29とリーグで2番目の数字を誇るが、やはり得点力が無ければ優勝戦線は戦えない。チームトップスコアラーがリャイッチの8得点、次いで英雄トッティの7得点となっているが、10点以上取っている選手が1人もいないという現状は重く受け止めなければならない。
失点にも気になる点がある。ローマの失点が少ないのは指揮官のルディ・ガルシアが敷く4−1−4−1のおかげで、彼が作った守備ブロックはよく整備されている。しかし、今季のローマは先制を許した試合がかなり多い。
ローマがスコアレスで敗れた、つまり(第10節のナポリ戦のように)0−2とローマが1点も取れずに敗れた試合はカウントに入れず、先に先制された試合を数えると実に9試合もある。このうち逆転勝利を収めたのは第12節のアタランタ戦のみで、その他は6分け2敗となっている。
ユヴェントスも先に先制された試合が5つあるが、試合成績は3勝2分。ユヴェントスには逆転勝利を収めるだけの力があり、ローマにはそれが無かったといえる。そもそもユヴェントスはほとんどの試合で先制しており、相手にリードされた状態で進行したケースが少ない。それは国内リーグのみならずCLでもだ。
ガルシアのサッカーは攻撃にあまり枚数をかけないため、得点数の増加を期待するのは難しい。攻撃は3トップとインサイドハーフの1枚、そこにサイドバックが1枚絡むか絡まないかのパターンが多く、何よりPA内に飛び込む選手の数が少なすぎる。
こうしたサッカーを続ける以上、相手に先制される展開は絶対に阻止しなければならない。ローマには相手を追いかける得点力が無く、守り切る事で勝機を見出すスタイルなのだから。