ブリュッセルでの再会 同胞同級生対決の決着は次回に持ち越し
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チャヴリッチはフランス戦の一試合のみの出場している。ミトロヴィッチよりも一年遅れてベルギーへと越境。KRCヘンクの青いユニフォームに袖を通した。そうなると注目されるのが同胞·同級生対決。意外な程早くセルビアでの対戦から約一年半年ぶりに実現。チャヴリッチにとってはベルギーでの二試合目となる。ロイヤル·ムスクロン戦は挨拶程度の七分だけの出場から、この日はスタメンで六十分過ぎまでプレーしての交代。スコアレスドローの痛み分けとなった試合で気になったのはヘンクのスコットランド人指揮官が採用した4-3-3の配置。スリートップの後ろでのプレーすることをチャヴリッチに指示していた。
あの日あの時は■2022年10月13日UEFAカンファレンスリーグ·グループH第四節スロヴァン·ブラティスラヴァ対FCバーゼル1893。両チームのスタメンを見渡して興味深いのは双方の右サイドバック。長い間クラブの顔となり牽引してきたバーゼルのミヒャエル·ランク:Michael Lang【1991年2月8日生】は昨年引退している。2015年から三シーズンを過ごしドイツブンデスリーガを経て’21年に復帰。2016年にUEFAヨーロッパリーグベスト16、’18年のUEFAチャンピオンズリーグベスト16を経験。スイス代表ではブラジルとロシア、二度のワールドカップと‘16年のUEFA欧州選手権にも出場したので日本でも其なりの知名度はあるはず。
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一方のスロヴァンのルカシュ·パウシェク:Lukas Pauchek【1992年12月9日生】はブラティスラヴァ出身、十八歳でスロバヴァン·ユースに加入。’11年2月にトップチームでデビューし’13年にチェコのスパルタ·プラハへと移籍する。下写真は’16年から二シーズンプレーしたFKムラダー·ボレスラフのアウェーユニフォーム姿。スロバキア代表として’13年と’16年’21年の三回ワールドカップ予選に出場しているが、残念ながらすべて予選敗退で本選の華やかな舞台は未経験。チェコでプレーしていた彼の六年ぶり母国復帰。地元サポーターの喜びも一入、同クラブの通算試合出場数は223試合ゴール数4アシスト21。数字が示す通り攻撃面で正直期待するべきではないが、彼の存在が堅牢な守備を築くうえでは欠かせない。今季スロヴァンは離れ、新天地は同じスロヴァキア一部リーグのゼムプリーン·ミハロフェ。主将を務めると開幕戦は本職の右サイドバックに。その後はセンターバックで三試合、五節のスロヴァン戦以降は左サイドに入るなど手薄な守備陣をカバーしている。
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さてバーゼル戦は互いにPKを決め1-1での折り返し。後半開始四分、セットプレーからスロヴァンが勝ち越すとその四分後右サイドハーフのアルメニア代表ティグラン·バルセグヤン:Tigran Barseghyn【1993年9月22日生】からのスルーパス。快速を走らせライン裏に抜け出したのはチャヴリッチ。見事なゴールでスイスの盟主を突き放す。形勢不利な状況で後半20分バーゼルは大博打。選手を一気に三枚替え。大胆な采配が奏功し直後一点差に詰め寄る。相手の出方を確認して、五分後にスロヴァンのベンチが漸く動く。サイドハーフを二人とも下げ、入れたのがセンターフォワードとセントラルミッドフィルダー。
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混乱をついたオ-バ-ラップから絶妙のクロス
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フォーメーションをどう変えたのかがPC画面の映像ではよくわからない。すると直後に右サイドに突然現れたランクにパスが通る。この時ランクはエリア内に完全フリーでボ-ルを受けた。スロヴァンの最終ラインは三人。バーセルは途中出場のアンディ·ゼキリ:Andi Zeqiri【1999年6月22日生】が一人だけ。それでも目の前に遮る相手がいないランクは狙いすまして速いクロスを中に折り返すとディフェンダーは誰も触れることができず同点ゴールが生まれた。バーゼルは指揮官の采配があたり、見事な追い上げで勝ち点一を獲得。しかしドローの結果はスロヴァンにとっても悪くはない。前節敵地では期待していなかったパウシェクが頭で先制。チャヴリッチも左足で決めてグループのライバルに2-0で完勝していたのだから。このグループは残る二つのクラブがアルバニアのエレバンとリトアニアのジャルギリスなので首位でのグループ突破へと大きく前進した試合だった。観客も二万人を越えていたから感染症は過去の話に。
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ところが二位で突破したバーゼルがプレーオフでトルコのトラブゾンスポルを退けるとラウンド16でまたもスロヴァンと対戦。二試合とも引き分けとなりPK戦の結果スロヴァンは涙を吞んでコンペティションを後にした。
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