オリンピック・マルセイユといえば、かつてはチャンピオンズリーグ常連でフランス・リーグアンを牽引した強豪チームであった。
しかし、最近はパリ・サンジェルマンやASモナコといった海外の潤沢な資本が注入されたチームに圧され、低迷を続けていた。
その事態を打開するべく、招聘されたのは自身の戦術マニアぶりから『エル・ロコ(変人)』という愛称で知られるアルゼンチンの名将、マルセロ・ビエルサ氏であった。
ビエルサ氏が就任したシーズン序盤は、氏の志向する戦術がチームになかなか浸透せずに苦しんだものの、中盤以降はリーグ首位を奪取し、暫くその座を保持するなどチーム事情は好転してきていた。
しかし、同氏はチームとの来季の契約はまだ結んでおらず、契約更新の可能性も示唆はしたものの、このままチームを離れることも視野に入れていることを公言したのである。
そもそものケチの着き始めはシーズンインに際して、ビエルサ氏が加入するまで選手の補強はしないことを約束していたにも関わらず、ボタフォゴからドリアを獲得したことであった。
当然、ビエルサ氏は激怒、彼にはリーグアンでプレイする機会は与えられなかった。
(結局、、今年2月にサンパウロへローン移籍することとなった)
それ以来、チーム首脳陣とは微妙な関係であったが、チームの好調さでそれは覆い隠されていたものの、オランド政権に替わったことによる増税やホームスタジアムであるスタッド・ヴェロドロームの改築による賃貸料増加などでチームの懐事情が悪化し、主力であるガーナ代表FWのアンドレ・アユーやフランス代表FWのアンドレ=ピエール・ジニャックをも手放さざるを得なくなっており、こういった事情に嫌気がさしているようだ。
サウジアラビアが代表監督として就任を要請しているという報道もあり、彼のサッカーへの情熱を受け入れる場所はどこになるのか、注目である。