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マンチェスター・ユナイテッドvsアーセナル ~ドローでも3位争いに勝利したアーセナル

 試合の方はホーム最終戦であり、サポーターのためにもチームの来季のためにも大きな勝利が懸かるユナイテッドがキックオフからハイプレスを敢行。アーセナルもDFラインを押し上げ、チームには珍しい“雑草型”の守備的MFフランシス・コクランが台頭した中盤で激しいプレッシングで対抗。序盤はその激しい中盤でのつぶし合いで緊迫した試合展開になりました。

 しかし、ユナイテッドはトッテナムやリヴァプール、マンチェスター・シティを破ってのリーグ戦6連勝により試行錯誤の上で定着したルイス・ファン・ハール監督の<4-3-3>のシステムが機能。ここ数試合ではキャリックだけが欠場しても不安定な試合を見せて3連敗を喫していたものの、この日は彼とルーニーの不在を微塵も感じさせていませんでした。来季はいないはずのファルカオが貪欲にゴールを狙う動きを見せるのは、主将のルーニーの1トップ像とは違うものの、その動き自体はアーセナル最終ラインにとって脅威となるアクセントになっており、彼が相手を引き付ける事によってバイタルエリアにスペースが生まれ、ユナイテッドのベルギー代表MFマルアン・フェライニとスペイン代表候補の若手MFアンデル・エレーラ、右サイドから中に入るスペイン代表MFファン・マヌエル・マタによってユナイテッドが試合の主導権を握りました。

 特にデイビッド・モイーズ監督の下でリーグ7位と低迷した昨季に加入して酷評されていたフェライニや“クロース・マシーン”と揶揄されていたイングランド代表MFアシュリー・ヤングが作る左サイドからの攻撃は見事。右サイドではこれまた昨季の途中加入で酷評されていながら、今年に入った辺りからプレースタイルを一新して“走るファンタジスタ”となったマタがパスだけでなく、動きでも変幻自在に攻撃へアクセントを作る多彩な攻撃でアーセナルを圧倒。

 そして30分、その左サイドでフェライニが繋ぎ、ワイドで1対1となる“ウイングの聖域”で得意の間合いを持ってボールを受けたヤングへ。対面するのは今季台頭した若手右SBエクトル・ベジェリン。フェライニもそのヤングのウイングプレーのタメを利用してゴール前で194cmの長身を活かしてクロスに備える準備をしていると、アーセナル守備陣はフェライニに集中してしまい、ヤングはファーサイドでフリーで入って行くエレーラを選択して絶妙の浮き球クロス。冷静に合わせて放ったエレーラの右足ボレーが決まってユナイテッドが先制。1-0。

 さらにユナイテッドはハーフウェイライン左からヤングがDFライン裏への縦パス。これを逆サイドからダイアゴナルラン(斜め方向への走り)で抜け出したマタが受けてGKの頭上を越える最高級のクロスを配給。ファルカオもゴールへの嗅覚を活かして最も危険な場所に突っ込むも、これをアーセナルのフランス代表DFローラン・コシールニーが鋭い読みを前提にした速さと強さ兼備のカヴァーで対応して追加点を防ぎました。

 筆者の個人的な意見では、コシールニーはここ3年ほどのイングランド・プレミアリーグでは“最優秀CB”と言える選手。今季は負傷期間が多くリーグ戦の10試合以上を欠場してベストイレブンの選出からは漏れましたが、彼の戦列復帰後にチームの成績が飛躍的に向上しているのは周知の事実。この日もファルカオを止めたファインプレーだけでなく、出足の速いインターセプトを幾度も披露するなど、前半はシュートなしでボール支配率が38%とプレミアリーグでの“ポゼッション本家”と言われるアーセナルが相手に主導権を渡す苦しい試合展開の中で奮闘。その上でボールを持つ事すらままならない中で、コシールニーがボランチのコクランをサポートして中盤から前線へ自らボールを運んで“ビルドアップ”から“仕掛け”への攻撃の局面にも絡むなど幅広く貢献。同じフランス人である守備的MFコクランとの呼吸が合っているのも毎試合のように見えます。

 ただし、試合の方はシュートすらないアーセナルが1点ビハインドのまま前半を終了。

試合展開を変えた”最優秀守護神”の負傷 アーセナルは英国系トリオで同点に追いつく

 後半もユナイテッドのハイプレスの勢いは続き、効果的な攻撃を仕掛けられないアーセナル。51分にロングボールのこぼれ球からチリ代表FWアレクシス・サンチェスが狙い、偶発的な攻撃からのシュートが大きく枠を外れたモノがこの日最初のシュートでした。

 しかし、さすがにハイプレスを続けたユナイテッドの選手達のスタミナに限界が見え始め、FWのファルカオが全くモチベーションが感じられないオランダ代表FWロビン・ファン・ペルシーに変わった辺りが分岐点だったか?さらに負傷続きでフル出場が危うい左SBロホが交代になって若手のタイラー・ブラケットが投入されたと同時に、アーセナルは同サイドにイングランド代表のスピードスターであるFWテオ・ウォルコットを投入。フェライニとヤングに苦戦したベジェリンもベンチに下げてコクランを右SBに回して、中盤中央にはウェールズ代表MFアーロン・ラムジーが回り、投入されたイングランド代表MFジャック・ウィルシャーと共にゲームをコントロール。

 さらに流れを変えたのが、この選手交代が続いていた時に負傷を訴えたユナイテッドの守護神、スペイン代表GKダビド・デヘアの交代。今季のプレミアリーグベストイレブン選出の“最優秀守護神”は、運動量が落ちて試合の流れが変わっても、アーセナルのフランス代表FWオリヴィエ・ジルーのゴール前の決定的なシュートでのセーブや、サンチェスからの裏へのパスに抜け出したラムジーを的確な飛び出しでシュートをさせずに失点回避を続けていただけにユナイテッドには痛かったでしょう。デ・ヘアに変わって出場したのがバルセロナでCLを3回優勝したヴィクトル・バルデスとはいえ、負傷による長期離脱を経て、ユナイテッド加入は冬からで、これがデビュー戦となっては・・・さすがに厳しいものでした。

 82分、中央のラムジーから右ワイドで高い位置を取ったウォルコットへ針の穴を通すかのような完璧なサイドチェンジが通り、対面したブラケットをスピードと俊敏なアジリテイで翻弄。完全に下半身を崩した状態でクロスに至ったウォルコットのボールに対して、ブラケットが懸命に脚を伸ばすと、皮肉にもボールはゴール方向へと角度を替え、GKの意表を突いたボールがゴールへ吸い込まれて1-1の同点に。イングランド代表のウォルコットとウィルシャーの投入でウェールズ代表のラムジーも活き活きとプレーし始め、英国系トリオが久しぶりにピッチで揃って活躍。

 その後は勝たないといけないユナイテッドが前がかりになり、ジルーやサンチェスにエリア内でシュートを放つ好機が訪れるも決めきれず。アーセナルのシュートは5本だけという攻撃に終始しても、3位濃厚の状況でしっかりと試合を締めてドロー決着。