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キリンチャレンジカップ・日本代表VSジャマイカ代表~主軸固まる初勝利

 注目を浴びたハビエル・アギーレ新監督就任後初の日本代表戦となった先月のウルグアイとベネズエラという南米勢の対決を1分1敗と未勝利。

 初戦のウルグアイ戦は結果以上に内容的完敗。ブラジルW杯惨敗と新監督就任を経て始まった新たな日本代表としての初陣であり、まだまだ時間が足りない事を差し引いても、釈然としない中途半端な戦いぶりでした。対戦相手のウルグアイが現在FIFAランク6位の現・南米王者であり、同じ体制下で長年積み上げられたチームの完成度にも違いがあったものの、堅守速攻からの鋭いカウンターを武器にするチームにポゼッションでも主導権を握られるような戦いが残念でした。
 ただし、そのウルグアイ戦ではW杯メンバー7人を先発させた上で、初めて代表選出されたDF坂井達弥、FW皆川佑介というそれぞれ日本代表選出時にはJリーグで4試合(先発4)と7試合(先発1)に出場したのみであった2人を先発に抜擢し、後半にも代表デビューとなったFW武藤、MF森岡亮太が好プレーを見せ、中盤の底にはDFの森重が起用されて無難にこなすなど、“アギーレ色”も出ており、積み上げが期待されました。

 そこで迎えた直後のベネズエラ戦ではこれまた代表初招集のMF柴崎が先発デビュー。前半は振るわなかったものの、後半に岡崎と武藤を投入すると、ブラジルW杯後の”新戦力”にして”新主力候補”と言える柴崎と武藤がゴールを記録するなどブラジルW杯予選で前述のウルグアイと最後まで出場権を賭けて追い込んだ実力国相手に今後へ向けた収穫を多く残しての2-2のドローとして9月の日本代表戦シリーズを終えました。

 その2試合での計4失点が全てDFやGKの個人でのミスが絡んでおり、結果としてそのミスを犯したDF酒井宏樹と坂井達弥は代表メンバーから落選。Jリーグを始め、初めて日本人選手を視察するアギーレ監督の目線と招集リストは素人のようにも見えるものの、自分の目で見た感覚を大事にする事と結果を出しているメンバーを重視するという代表選考において最も重要な要素が反映されています。
 その中で今回は負傷者の影響もあるものの、DF塩谷司、鈴木大輔、MF田口泰士、FW小林悠が代表初招集。前回は脳震盪の経過観察で欠場したMF香川真司や今季からスペインのコルドバへ移籍したFWハーフナー・マイクも代表復帰。他にもGK権田修一、DF西大伍、太田宏介が代表復帰を果たし、負傷者の影響があったとはいえ、前回の招集メンバーから23人中9人が変更となりました。

 この日の気になる先発メンバーにはベネズエラ戦でゴールを記録した柴崎&武藤の新主力候補が名を列ね、結果的にアギーレ体制初ゴール含む2ゴールを生んだベネズエラ戦の後半のメンバーを8人選択。負傷の吉田麻也に替わってCBには初招集の塩谷が先発デビューとなり、その起用法が注目された香川はザッケローニ監督体制でのアタッカーのポジションではなく中盤の位置で起用されてスタート。話題を独占する勢いの武藤は代表初先発です。尚、キャプテンは本田がアギーレ体制初陣から引き続いて任され、3試合連続のフル出場となっています。

【マッチレポート】

鹿島のようにプレーする柴崎、新境地の香川、”本職アンカーの”細貝がリズム掴む中盤の新たな活かし方

 ジャマイカは現在のFIFAランクでは日本が48位なのに対して100位。W杯出場は日本に勝ったものの、グループリーグ敗退に終わった1998年のフランス大会のみ。欧州クラブに在籍する選手が所属クラブの意向で招集できない事があるなど、今回の試合にも召集できたのは18人。その中の13人が海外組で、大半はアメリカのMLSでプレーしています。中でも、主将のDFウェス・モーガンはイングランドプレミアリーグに今季から昇格してきたレスター・シティでも主将を務める屈強なDFリーダー。

 試合の方は日本の選手の距離間が良く、相手陣内に押し込んでボールを支配し続ける展開で始まりました。6分には本田が直接FKを狙い、相手GKを強襲。15分には香川が僅かに外れたものの、左足で強烈なロングシュートを放ってリズムを掴みました。
 その際、特にアギーレジャパン初戦のウルグアイ戦では中盤が森重・細貝・田中順也と3人とも司令塔タイプがいない構成だったものの、この試合では復帰した香川と”新司令塔”柴崎が並び立ち、その2人を前回はインサイドMFで起用されていた細貝が本職のアンカーでサポートする3人のバランス、構成力が抜群でした。連携面での不足やジャマイカが中盤でプレスで寄せて来たためにパスワークでミスもあったものの、そこは細貝の攻守の切り替えの速さや1対1の強さを出足の速いアプローチという特徴が際立っていました。それによってパスサッカーというほど流動的なパスワークは披露できなかったものの、ボールを奪われても瞬時に奪い返す事が容易となって攻守両面で相手陣内でプレーし続けました。

 すると16分、ジャマイカの不安定なビルドアップに対して連動したプレスを仕掛けて左サイドで岡崎がボールを奪い、右の本田へパス。その本田の外側を中盤の柴崎が駆け上がり、フリーでパスを受けて強烈なシュート。GKのファインセーブに阻まれるも、こぼれ球がDFに当たってゴールに吸い込まれ1-0。日本が攻守の切り替えの速さを活かした理想的なショートカウンターで先制点を奪いました。

 前半はこのショートカウンターが効果覿面で、33分には狙いを絞ったプレスがハマり、右SB酒井高徳が高い位置で奪ったボールをそのまま前線左に抜け出す本田へスルーパスを通し、本田がGKと1対1になる決定機を演出。しかし、これはGKの体勢を見てループで狙った本田のシュートが枠を外れて追加点ならず。
 
 また、この日故郷の新潟でプレーする事になった酒井高徳の積極的な攻撃参加は、フィニッシュに直接絡むほどに鋭いプレーが続いたのも印象的でした。

 一方のジャマイカは攻撃には2トップのみしか絡めず。また、この日1対1で驚異的な強さを発揮した森重の存在感もあって前半はカウンター攻撃すらできずの状態に抑え、前半を1-0で折り返しました。

決定力に課題もアギーレジャパン初勝利~収穫も多かった内容を問うべき試合で主軸固まる

 ジャマイカが2トップを両方とも交代したのとは対照的に日本は選手交代なしでスタートした後半。柴崎のFWを追い越す動きや長めのスルーパスでチャンスメイクしたり、酒井高徳の攻撃参加が際立ち、武藤や岡崎がシュートシーンを迎えたものの、またも追加点を奪えない展開に。ゴールこそ奪えなかったものの、クロスやショートカウンターからの攻撃に対して、岡崎・武藤・本田がワンテンポずつズレてゴール前へ入っていく動き出しは攻撃に迫力を与えていました。

 日本は59分に最前線でスペースを作り続けた岡崎に替えて右サイドに代表デビューとなったスピード豊かな動き出しに特徴があるFW小林悠を投入。CFに武藤を配置。これにより左サイドに回った本田が香川や長友と近い距離で絡んで好機を演出。
 
 62分には左サイドで長友が縦のスペースへ出したボールを受けた香川が鋭い切り返しでDFを交わし、右足アウトサイドキックでのクロスを送ると、ファーサイドでフリーの武藤へ。ドンピシャで合わせたヘディングシュートは枠を捉えたものの、ややコースが甘くてGKの好守に。65分には香川と本田でタメを作り、柴崎を経由して右サイドを駆け上がった酒井高徳のグランダークロスに香川がフリーで合わせたものの、枠を外して全く追加点が奪えず。

 そうこうしている間に集中力とスタミナが落ちた78分、長友が左サイドで後ろに向かってドリブルし、GKへのバックパス。これを読んでいたジャマイカFWシートンがパスカット。スルーパスのようなラストパスが通ったような状態で抜け出されてGKと1対1となり大ピンチに。しかし、懸命に戻ったCB森重が体を入れて決定機を阻止。9月の2戦を想起させる失点につながる致命的なミスでした。

 その後もやや危ない場面があったものの、チャンスも作った日本は、長友が左サイドから攻撃参加する機会が増え、香川や本田も絡んでの迫力ある攻撃も見せる。終了間際には途中出場の左SB太田宏介が左からのショートコーナーから絶妙なクロスを送り、途中出場のFW小林がヘッドで合わせたシュートも外れるなど再三の決定機があったものの、オウンゴールの1点のみの1-0で試合は終了。
 
 中3日でシンガポールで行われるブラジル代表戦へ向けて、アギーレジャパン初勝利となったものの、決定力には課題が残りました。