―――ボールを受ける時には何を考えますか?
(吉武)「このチームに来てからは、DFラインやサイドからボールを受けた時に、2トップにワンタッチで縦パスを通す準備をしています。ワンタッチは苦手なんですけどね。」
―――プレーの選択肢はいくつ持っていますか?
(吉武)「自分はまだ(常には)1つしか持てていないですけど、監督からは『2つ以上持つようにしろ』と言われています。まだまだ出来ていないので課題です。」
―――視野の確保はどうされていますか?
(吉武)「自分はボールが来たら焦ってしまうので、ボールが来る前に味方の位置を把握しています。」
―――遠くを見るようにされてますか?
(吉武)「遠くですね。左サイドにボールがある時は逆サイドを見たりとかですね。(遠くを見ると近い距離は間接的に見えますよね?)見えるんですか?」
既視感を抱いたのはアーセナル時代のセスク
吉武が伊賀の選手として途中出場を続けていた時、そのトラップやボールの置き所からして技術の高い選手なのは直ぐに分かった。ただ、彼女がそれをどう活かすのか?また、このチームではどのポジションに適性があるのか?と考えた時、あまり明確なイメージが湧かなかった。ただ、何故か既視感があった。
筆者はイングランドの強豪・アーセナルの試合を好んでよく観戦しているのだが、そのアーセナルで17歳の頃から頻繁に試合に出始めたスペイン代表MFセスク・ファブレガス(現・チェルシー/イングランド)に似ている。
プレースタイルも似ているが、途中出場から様々なポジションをこなして段階的に主力になっていく課程で、「この選手は技術の高さは直ぐにわかるけど、なぜそこまで起用されるのか?よく分からない」部分があった。それでも、急に繰り出す決定的なパスを1試合で1、2本見せ始め、試合を重ねるごとにどんどん増えていった。その後のセスクはボランチとして定着し、1シーズンで二桁アシストの常連となり、インサイドMFやトップ下でも起用されると、ゴールもアシストも二桁を記録する選手になっていった。
そして、この吉武がインタビューで語った通り、野田監督はDFラインからの繋ぎについてもディティールを踏んだトレーニングを行っているのも分かった。吉武はSBがボールを持った時にパスを受けるサポートの位置や距離感、角度が絶妙な選手だ。セスクも吉武も身体は華奢だが、攻撃時と同じように守備時も周囲との距離感が絶妙なのでボール奪取も多い。
DFがボールを持った時には大きく蹴り出してしまうチームが多い中、中盤を経由して縦パスをFWに供給する。これはバルセロナの下部組織時代にはショートパスの連続を重視して過ごして来たセスクが、「アーセナルに加入してから体得した」モノでもある。
ただ、最も似ていたのは試合後の会見で吉武について語る野田監督の表情が、セスクへの信頼や成長ぶりを語るアーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督のそれと酷似していたことだ。
そんな吉武はCharme時代になでしこ1部を経験していた。当時のチームの主将は、現・伊賀の主将でもあるFW杉田。2013年度には大学生チームながら、なでしこ1部を戦って残留。全日本大学女子サッカー選手権大会でも優勝を飾ったスペシャルチームだった。
現在の伊賀には、杉田とCharme時代からの同期であるGK井指楓も所属している。尊敬する先輩2人がいるチームで日進月歩の成長を見せる吉武愛美が、伊賀FCくノ一の主軸となる日も近そうだ。
【プロフィール】
名前:吉武愛美(よしたけ まなみ)
生年月日:1994年4月29日(23歳)
出身: 福岡県北九州市
身長:159cm
体重:50kg
所属クラブ: FCビゴール(-2006)→JFAアカデミー福島(2007-2012)→FC吉備国際大学Charme(2013-2016)→伊賀FCくノ一(2017-)
ポジション:MF・DF
背番号:25
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この試合のハイライト動画:https://youtu.be/likHYjPasfo
伊賀フットボールクラブくノ一のyoutubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCHjxKnO-1R_bonMj26_9uwA?app=desktop
伊賀フットボールクラブくノ一公式HP:http://www.igafc.jp/