果たして日本代表がそのようなスタイルで戦っているのだろうか。答えは全くの逆である。日本代表はスペインのように細かく繋ぐサッカーを実践しており、ロングボールを蹴る機会はそれほど多くない。つまり高校でやっているサッカーはほとんど代表に還元されていない。
高校を卒業後、大学に行く者やJリーグに行く者と進路は分かれる。彼らはJリーグに入って初めて日本代表を意識したトレーニングや試合に励む事になり、高校時代の戦術などはほとんど活かされていない。世界的に考えても、20代を迎えてから代表のサッカーに触れるようでは遅いのだ。
もっと下の世代、すなわち中学生の世代から日本代表を意識させたトレーニングをしていく必要がある。つまり日本代表にどんな選手が欲しいのか。そして彼らを活かしてどのように戦いたいのか。ここをもっと明確にする必要がある。
ザックやアギーレのような海外監督を呼ぶのは、ただのその場凌ぎでしかない。その4年間は良くとも、また新たなスタートとなってしまう。ポゼッションを意識したザックに対し、アギーレは堅い守備をベースとしている。このように判断がブレてしまえば下の世代が意識を持ちづらい。
☆新たなトータルフットボール
完璧なチームは代表のレベルでは留まらない。ドイツを超える完璧なチームを作るには、下の世代の指導方針までも完璧にする必要がある。代表に良い選手を呼ぶだけで良かった時代は終わり、未来の代表を見据えて強化していくのが当たり前となりつつある。
完璧は一日にしてならず・・・。サッカーというスポーツの括りだけではなく、国というレベルでサッカーを捉える時期にある。ドイツが示した方向性は、サッカーをする全ての国に向けてのメッセージとなった。
トータルフットボールの枠は超えた。11人ではなく、国という単位でトータルフットボールをする時代が来た。ドイツから送られたこのメッセージに、日本代表は気付いただろうか。もし気づいていれば、10年~20年の間に答えは出るはずだ。
まずはトータルフットボールの最も下の部類として、我々はサッカーを楽しんで応援する事としよう。
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シリーズはこれで終了です。最後まで読んでいただいた方々、ありがとうございました。