現在のトレンドは、オランダのトータル・フットボールからバルセロナに伝わり、そのバルサの主力が中心となったスペイン代表のスペイン流トータル・フットボールと、ドイツ勢のゲーゲン・プレスだろう。
ドイツ代表はグアルディオラの影響が強いバイエルンの選手が多くので、ゲーゲン・プレスとスペイン流トータル・フットボールのハイブリッド型のようなチームになった。
そして、ゲーゲン・プレスに近いプレッシングサッカーでEURO予選を圧倒的な強さで突破したオーストリアも大会の優勝候補ではないかもしれないが、戦術的トレンドでは先端にいるチームだろう。
今大会はそんなスペインやドイツが順当に優勝するのか?
次の新戦術の発明は若手集団イングランドに期待
残念なのはこれらの現代サッカーの戦術的発展の歴史のキッカケとなっているオランダが、今回のEURO予選で敗退して出場できない事だ。
ブラジルでは「オランダのサッカーは発明だ」と言われるが、確かに頷ける。ただ、発明家には充電期間が必要なのだろう。
また、アントニオ・コンテ監督の戦術は決して古くは思わないが、ベテラン選手が多くなり、ゾーンプレスを編み出した当時ほどの斬新な発明がなくなったイタリアにも「古臭い」イメージがついている。
逆に、今まで何だかんだ言って、画期的な戦術を生み出していないサッカーの母国はどうなるのか?
大会参加国中の平均年齢が最年少となったイングランド代表が新戦術を繰り出して来るのか?
ハリー・ケインやデル・アリ(共にトッテナム・ホットスパー所属)のようなニュー・スターの台頭を期待している。
監督が老将ロイ・ホジソン?大丈夫だ。イングランド代表監督の肩書は確かにホジソンだが、ケインやデル・アリを始め、大量7人の教え子(サウサンプトン時代含む)をイングランド代表に送り込んでいるマウリシオ・ポッチェッティーノ(トッテナム監督)が“裏の監督”だからだ。
国内外からの引き抜きのオファーが殺到するポッチェティーノのサッカーは、今季のプレミアリーグで最年少の陣容ながらも、攻撃的なチームを作った上での最小失点も記録した。
イングランドは相性が抜群の“ポッチェッティーノ・スタイル”でいく。
そろそろこのスタイルに“正式名称”をつけて欲しいところだ。
そのためにはイングランドが決勝まで勝ち上がらないといけないのだが。
そんな戦術的トレンドの歴史を頭に入れながらEURO2016フランス大会を楽しみにするのも面白いのではないだろうか?