40〗Estadio Aurélio Pereira / アルコシェテ

最貧国には あまりに険しい自由の国への道

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思い出されるのは’17年にガボンで開催されるアフリカネイションズカップに初出場が決まったギニアビサウ代表。大会に向けてカティオ·バルデ氏がギニア協会の事務局長に就任した。しかし翌年辞任してしまい「この国のサッカーは発展性があり将来性もある。しかしこの無能な指導者たちでは無理だ!」と臆することなく断言した。あれから五年、アフリカ予選シエラレオネ戦のポルトガル人指揮官はその座を降りると発表。先日モロッコで行われたガボンとの親善試合で幕を引いた。現在勝ち点六ポイントで五位とはいえ、二位のブルキナファソとの差は五。残り四試合が残っているので諦めるのはまだ早い。しかし後任は未定。そういえばモロッコで気づいたのだが、’21年に食中毒によりヴァイッド·ハリルホジッチ:Vahid Halilhodžić【1952年5月15日生】指揮するモロッコ代表に大敗したのがギニアビサウだった。ポルトガル一部と同レベルのリーグでプレーする選手で構成されるギニアビサウ代表チーム。 個々のタレントでは自由の国アメリカとカナダ·メキシコでの本大会に出場するアジア圏のチームを上回る可能性は高い。優れているのは日本と豪州、韓国、それに国内組でもレベルの高いイランぐらいだろう。しかし悲しいかなソフト面だけ充実してもハード面が追いつかない。“火中の栗を拾う”の語源は、ジャン·ド·ラ·フォンテーヌ=Jean de La Fontaine【1621生−1695没】の猿とネコが会話する寓話。桃太郎ではないのでイヌの出番はない。欧州から実績のある監督を招きたくても予算のないラテン·アフリカの最貧国で火中から栗ならぬカシューナッツを拾い上げる救世主は果たして現れるのだろうか。〖第四十話了〗
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