二人のシンジが鎬を削った『シンジ・デルビー』。
マインツ、ドルトムントあわせて日本人、韓国人共に3人ずつ在籍するアジア色の高い対戦であったが、今回は韓国人は全員出場が出来ず、岡崎対香川という図式で試合前に煽りまくっていた試合であった
が、試合内容もこの二人の『シンジ』を巡る攻防が焦点となっていた。
攻撃にアクセントをもたらし、魔法をかける香川真司。
攻撃の核となり、危険な場所へ顔を出す岡崎慎司。
試合は如何にこの二人へのボール供給をさせないかという点で集約されていた。
香川は常にパスコースを消され、複数人がマークにつき、岡崎へはソクラティスかギンターが常にマークについて、ボールが来たらすぐにベンダーもしくはヨイッチと挟み込んで無力化する、そんな攻防戦がフィールドのあちこちで行われていた。
ただ、今回はマインツに分があったのは言うまでもなく、後方からのビルドアップ能力の差であったと思う。というのも、フンメルスやシャヒンといった、後方からビルドアップを可能とする選手がすべて負傷しており、前へと正確なパスを供給する能力に欠けていたドルトムントに対し、マインツはガイスとバウムガルトリンガーのボランチコンビが攻守に活躍、高く位置する左右のサイドバックの裏を狙うパスを出していた。これがボディブローのように少しずつドルトムントの攻守のリズムを狂わせていたように感じている。
そして、試合を決めた第二のポイントは交代策ではなかったか。香川を下げるタイミングと交代選手の間違いであったように思う。香川とラモスを同時に下げ、インモービレとミキタリアンを同時に投入したが、これによりラモスが作っていた前線でのタメが完全に作れなくなり、インモービレやオウバメヤンが裏を狙うのにロングボールを放り込む戦法しか取れなくなってしまったこと、そしてミキタリアンが完全にスランプ状態に陥っており、チャンスを悉く潰す方向に活躍してしまっていた。
オウバメヤンも今日は不発であり、ラモスよりもオウバメヤンを下げ、ラモスとの2トップ状態にした上で香川とグロスクロイツをウィング的に自由に動ける形にしたほうが機能したのではないだろうか?
そして、何よりも試合の趨勢を大きく変えたのはカリウスのPK阻止だろう。あれで一気にスタジアムの雰囲気が変わってしまった。インモービレに自信を付けさせるための温情が却って事態を悪化させてしまったといえる。
終盤、丸岡がブンデス初登場し、風向きを多少なりとも変えることは出来たが、一度着いてしまった試合の趨勢を覆すまでには至らなかった。今回はマインツの日であった、としか言うほかない。これでマインツが建て直しを図れるだろう。
岡崎の活躍も含めて、注目してみて欲しい。