さてこの場面何がポイントだろうか。
正解はフレッジがキエッリーニの腹をつかんだことだ。
ではなぜだろうか。
もしフレッジが腹をつかまなかったら、かえって後方に反り返るのような体制になり、
最悪転倒してしまうかもしれない。
もちろん転倒すれば、肩ををつかむことは反則だし、しかもペナルティーエリアに入るかはいらないかのタイミングなので、PKかゴール正面でFKとなり大きなチャンスに繋がるともいえる。
ただしPKあるいはFKを勝ち得たとしても相手はブッフォンである。
また倒れ方によってはシミュレーションを取られるリスクもある。
むしろ相手の腹をつかむことで体制は安定し、逆にキエッリーニはどうしたってボールに届かない。
むしろひっぱているキエッリーニの方が動きが制約されている。
そして振りほどけばキーパーと一対一となる。
それに倒れないように腹をつかみ、とにかく前に行こうとするフレッジにストライカーの矜持を感じると西部氏は書いている
このようにプレーのディテールを描いて、ズバリポイントは何かを書いている。。
この本の醍醐味はまず詳細な記述とわかりやすいイラストで試合を見ていなくてもありありをその場面を思い出すことができること。
そして西部氏の戦術論と言うより観察眼のようなもの、もっと簡単に言うとサッカーのおもしろところをありありと描いてあり、サッカーを観戦する際の参考となること。
つけたすなら実際のスタジアムでなく、巻き戻しや一時停止が可能なビデオで見ることを想定している。
おそらく何度も何度も止めては巻き戻しを何回も繰り返しているはずだ。
しかしこの本を読めばそうしたくなってくるのがおもしろい。