FCバルセロナの強さのひとつとして、カンテラーノたちの活躍がある。
そこで今後進むであろうバルサ選手の新陳代謝の中で、今後バルサBから昇格する選手たちを中心として、カンテラーノたちがどのように扱われるのかが今後のバルサの左右を担っていると言えるだろう。
さらには、サッカー界の歴史を見つめることになるに違いない。
ここでこのことに関係した一つの優れた記事を紹介したい。
「月刊footballista」2014年12月号に掲載された
『低迷の先に光、カンテラーノは生き残れるか?』という記事、バルセロナ在住の工藤拓による執筆。まずこの記事の工藤氏の類まれな論理展開を要約して紹介し、工藤氏の結論を踏まえた上で私自身のバルサとのカンテラーノ、ひいては育成問題、とくにカンテラについて考えてみたい。
その前の前提条件として、バルサの歴史の中で現在の状況を考察する上で、ヨハン・クライフがフロント入りしていたライカールト監督時代からを検討対象とする。
その理由については同誌同月号『グアルディオラ後。クラブの象徴不在のまま、クラシコがやって来る』木村博嗣を参照して欲しい。一言で言うとクライフ=ライカールト体制の始まりをもって、現在のバルサに繋がっているということであるが、ぜひ参照してもらいたい。
まず、工藤氏によるといままで多くのカンテラーノがトップに定着できたのは4つの理由があるという。
- ①ライカールト監督は過去にデビュー済みのカンテラーノが起用できた。
- ②ライカールト監督時代の主力はロナウジーニョなどの外国人でありカンテラーノは比較的プレッシャーが少なかった。
- ③ライカールト監督の衰退時にチャビなどのその後の黄金期カンテラーノがチームを支えたので、ファンにもカンテラの重要性が認知された。
- ④グラウディオラは就任当初期待されておらず、また改革実行の必要性もあったので、その実行手段してカンテラーノの起用が容易であり、積極的に行った。
とはいえカンテラーノの昇格は相次いだものの飼い殺し状態の増加が目立ってきたのも事実であるが、今季はさらに特別な事情があるという、
- ①プジョル、ビクトル・バルテス、セスクの退団でレギュラー枠が3つも空いたこと
- ②FIFAによる制裁で今後1年間外からの補強ができないこと
- ③Bチームを率いた経験もあるルイス・エンリケが監督となったこと