4試合ぶりの勝利で今季のプレミアリーグを締めくくり、3位でフィニッシュ。来季のチャンピオンズリーグには本戦からストレートインで出場する事が決定しました。
エジル、カソルラすら従える10番のポテンシャル発揮
直接のアシストはありませんでしたが、この試合の全得点に絡んだのはアーセナルが誇る“10番”ジャック・ウィルシャー。ここ3シーズン続けて長期離脱を伴う負傷に苦しんでいますが、やっと完全復調の気配が窺えます。
類まれなボールコントロールや独特のリズムを持つドリブルを織り交ぜながら、豊富なアイデアをパスセンスで得点機を演出するゲームメイクには彼が10番を着ている理由がはっきりと見てとれます。この日の豪快なボレー弾はもちろん、エジルやカソルラというドイツ代表とスペイン代表の司令塔をも脇役に従えるようなプレーぶりで自身の持つサッカーセンスを思う存分に披露してくれました。そのプレーを観ているだけで嬉しく、幸せになるような優雅なプレーの連続でした。
ウィルシャーは2011年夏に同じプレミアリーグのボルトン・ワンダーランズからのレンタルバックされてから、ボルトンでもアーセナルでも2ボランチの一角を定位置にレギュラーを務め、そのシーズンの欧州チャンピオンズリーグ決勝トーナメントでは優勝するバルセロナ相手に敗れながらもピッチ上で最も際立ったプレーを連発。素早く連動したプレッシングが武器のバルセロナ相手に、“プレス網を交わす中盤からのドリブル”で輝かしき未来を想起させてくれました。
しかし、翌シーズンからは約1年を棒に振る負傷に苦しみ、それ以降も毎年のように負傷を繰り返して苦しんでいます。また、“適正”だとされていたはずのボランチやセントラルMFのポジションも、2010-2011シーズンの相棒であったカメルーン代表MFアレクサンドル・ソングが2012年の夏に退団してからはウィルシャーのプレースタイルに合ったパートナーが見つからず。逆にイングランド代表では「新時代の旗手」として大きな期待を受けるものの、後方からのビルドアップすらままならない代表では守備負担や負傷リスクの高いアンカーへコンバートされる事もあり、次第に“適正ポジション”が見つからない起用貧乏な選手に。
それでも昨季からメインポジションになりつつある右サイドMFで、それまで課題とされてきた得点力不足も解消されつつあり、右SBに定着したエクトル・ベジェリンが攻撃志向が強く、彼が高い位置を取る事でウィルシャーのプレースタイルとも合致。中央に寄ってエジルやカソルラと絡んで好プレーを連発する事で彼等との“共存”を可能と証明しつつ、“適正ポジション”も見つけた模様。彼の中盤からのドリブルは確かに稀有な才能。以前は効果的ではなかったかもしれませんが、現在は一皮剥けつつあります。
FAカップ決勝も「アーセナルの10番」のプレーに注目です!!