特に長期離脱の負傷明け後で約半年ぶりの先発出場となったウィルシャーが躍動。ボランチコンビがアーロン・ラムジーとサンティ・カソルラというコクランよりもボール扱いやゲームメイクに長けた選手が入ったため、彼等が3列目で引き付けてから出したり、彼等から最前線のオリヴィエ・ジルーに入る縦パスの落としをバイタルエリアでウィルシャーが前を向いて受ける事が多く、彼の「アーセナルの10番」らしい独特のパスセンスで好機を演出。ボール支配率も7割を越えるほど相手陣内に押し込んで圧倒しました。
しかし、そのウィルシャー自身がクロスからフリーの場面でシュートを浮かしたり、彼からの浮き球のラストパスをジルーが枠を外したりと、ホーム戦で2試合無得点という決定力不足が顔を覗かせるアーセナルは先制点を奪えず。
サンダランドは敵地で「コレしかない」の一点張りのディフェンスで引いて入ったものの、アーセナルの裏を突く場面がなかったわけではありませんでした。しかし、スピードのないFWダニー・グレアムが最前線を務めているなど、ゲームプランに合った前線の選手の特徴と組み合わせではなかったのかもしれません。
意外にもオープンに打ち合ってのドローも ボール支配率75%、シュート28本でもスコアレス
スコアレスで折り返した後半、サンダランドはシュート1本のみに終わった前線を修正。FWのグレアムとトップ下に入っていたFWコナー・ウィッカムに替えて、スコットランド代表FWスティーブン・フレッチャーと、イングランド代表としてもまだまだ期待されるMFジャック・ロドウェルを投入。前半の〈4-2-3-1>から、ロドウェルを完全に中盤に組み込んでインテンシティを上げる<4-3-3>にシステムをマイナーチェンジする2枚替え。
変化は如実に現れ、49分に右サイドのアダム・ジョンソンがドリブルでのカットインからエリア内へスルーパス。巧みに抜け出したフレッシャーがGKの好守を必要とするシュートを放つと、その流れが続けて、バイタルエリアに引いた左ウイングのFWジャーメイン・デフォーから大外の裏へスルーパス。左SBのファン・アーンホルトがエリア内に入ってフリーでシュートもアーセナルのコロンビア代表GKダヴィド・オスピナが共に防ぐ決定機を2つ作り出し、前半とは打って変わってオープンな打ち合いになって行きました。
しかし、相対的にはアーセナルがボール支配率75%に達し、シュートも28本放つ猛攻。クロスからジルーが合わせたり、バイタルエリアからの崩しにエリア内でアレクシス・サンチェスが鋭いドリブルを織り交ぜてのフィニッシュ、途中出場のFWテオ・ウォルコットが自慢のスピードで抜け出してのシュートやチャンスメイクで決定機があったものの、枠内シュートは8本のみ。サンダランドのGKコステル・パンティリモンのビッグセーブが遭ったとはいえ、4試合連続で得点者なしで終了。
ちなみにこの試合で最も“大きな”セーブだったのはパンティリモンではなく、60分にカウンター1本で裏に抜け出したサンダランドFWフレッチャーのチップキックによるシュートに対して前に出るのを最後まで我慢して防いだオスピナのほう。少ないチャンスでも決定機を作るなど賢く戦ったサンダランドが目標通りの勝点1を獲得し、来季のプレミアリーグ残留を勝ち取った試合でした。
アーセナルは4位のマンチェスター・ユナイテッドとの勝点を3に拡げ、最終節もホームで開催されるウエスト・ブロムウィッチ・アルビオン戦に備えます。得失点差で7の差があるため、最終節でアーセナルが敗れて、ユナイテッドが降格圏の18位で残留には勝利が絶対条件のハル・シティに勝ったとしても、アーセナルの3位はほぼ安泰ですが、3戦未勝利で得点もオウンゴール1つのみとなっては停滞感が著しく、FAカップ決勝のアストンヴィラ戦へ向けても消化不良なシーズン最終盤となってしまっています。
5戦無敗のサンダランドがプレミア残留 クラブはアドフォカ―トを”残留”させたいが・・・
就任前 | 就任後 |
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29戦4勝14分11敗 | 8戦3勝3分2敗 |
23得点43失点 | 7得点7失点 |