しかしクロース氏自身は’18年に同社の株式を投資会社に売却すると、翌19年ゴー·アヘッド·イーグルスの主要株主兼取締役に就任していた。20ｰ21年シーズン、エールディビジに昇格を決めたこのクラブは、同年十一月KNVBは財務評価システムでも最多ポイントを獲得したことで“最も財政的に健全なクラブ”の称号を得ている。新オーナーが辣腕を振るった成果であることは言うまでもない。すると’22年7月1日付けで自身所有の株式を売却しゴー·アヘッド·イーグルスのオーナーを退任すると半年後にはAZのフロント入り。前述の国際戦略ディレクターなる肩書はよくわからないと思っていたら、一年もたたない翌23年9月1日に辞任してしまう。
◇◇◇◇◇
◆◆◆◆◆
青春時代を過ごした思い出のクラブからエドウィン·ファン·デル·サール:Edwin van der der Sar【1970年10月29日生】の後任としてのオファーならば冥利に尽きる。ところがインサイダー取引の疑いでクラブの監査役会からは職務停止処分を言い渡される羽目に。クロース氏がアヤックス株を一万七千株ほど購入したのは自身のアヤックスGM着任が発表される約一週間前。取締役会が外部の法律専門家に助言を求めた結果、「同氏がインサイダー取引に関与していた可能性が高い」と述べたから“黒”と判断＝解雇は決定的と思われた。結局GMからテクニカルディレクターの降格処分に落ち着き、調査の末に前述のとおり晴れて無罪が証明される。ちなみにクロース氏はイーグルスやAZで働いていた当時既にアヤックス株を購入していたため、監視の対象となっていたらしい。
◇◇◇◇◇
◆◆◆◆◆
ゴー·アヘッド·イーグルスからAZアルクマールそしてアヤックスと流れる経歴で思い出したのはデミー·デ·ゼーウ:Demy de Zeeuw【1983年5月26日生】。腕組みをした写真がベルギ－の《Sport Foot Magazine 》表紙を飾っているのはスパルタク·モスクワからアンでルレヒトへと貸し出された2013年。ファン·ハール指揮官のもとで2008-09シーズンの栄光を勝ち取ったメンバーの主力。現在AZアルクマールの監督を務めるマールテン·マルティンス:Maarten Martens【1984年7月2日生】と互いに九アシストを記録して二十八年振りの国内制覇に大きく貢献した中盤の二枚看板。ならばあの日あの時は記憶に新しい■2023年4月20日UEFAヨーロッパ·カンファレンスリーグ準々決勝2ndレグ AZアルクマール対RSCアンデルレヒト
初戦で負った敵地でのビハインドは二点。この危機的状況からヴァンゲリス·パヴリディス:Vangelis Pavlidis【1998年11月21日生】の連続得点で前半追いついたものの、そこからは一進一退の攻防、結局百二十分でも決着がつかずPK戦へと縺れる。AZは菅原由勢:Yukinari Sugawara【2000年6月28日生】とタイアニ·ラインデルス:Tijjani【1998年7月29日生】を含む全員が成功。
◇◇◇◇◇
◆◆◆◆◆