その2失点で意表を突かれてマークを外したCB岩清水梓が14分、右からのアーリークロスをエリア内の真上にボールを上げるクリアミス。落下地点に飛び込んだローレン・ホリデーにダイレクトで蹴り込まれて3点目。
16分には、なでしこの中盤でのパスワークでミスが生じ、ボールを奪ったMFロイドがプレスを1枚剥がしてハーフウェイラインから放った超ロングシュートが、前へ出ていたGK海堀あゆみの頭上を絶妙に越える弾道の速さでゴールに吸い込まれて4点目。ロイドが早くもハットトリックを完成させ、MVPも確実にしました。
その後、なでしこは鮫島を1列目上げ、MF宮間あやをボランチに、宇津木を左SBにする3点移動で修正して何とか試合を落ち着かせました。
27分には中央に入った宮間から右サイドの川澄へ綺麗な展開。右SB有吉佐織が追い越す動きを見せ、それを使って川澄が切り返しての左足クロス。中央でDFをブロックしながら反転トラップしたFW大儀見優季が「これぞ、ストライカー」の左足を振り抜いたシュートが豪快に決まって1-4。
初戦のオーストラリア戦の26分に失点して以来の無失点記録が続くアメリカにとっては540分ぶりの失点。1大会の無失点記録は2007年のドイツの無失点優勝以来。当時は参加国が16カ国だったため、決勝を含めて6試合のみだったため、この大会のドイツの540分が最長。大儀見のゴールが1分でも遅かったらアメリカの記録達成でした。まさに維持のゴール。
1点を返したなでしこは33分に失点の責任を重く受け止め過ぎていたDF岩清水に替えて「女子サッカー界のレジェンド」MF澤を投入して盛り返すムードを演出。
39分にはMF川澄に替えて、FW菅澤優衣香を早々と投入。ボランチの阪口夢穂を急増CBに回して「絶対に最後まで諦めない」姿勢をピッチ上の選手もベンチも全面に出して戦い、なでしこが押し込む試合展開に。
それでも老獪なアメリカに凌がれて前半は1-4のまま折り返しました。
美しく散ったなでしこJAPAN~絶望的な状況から『奇跡の可能性』も感じさせた大和魂
後半も前半の終盤同様になでしこが攻勢を仕掛ける展開に。
そして52分、宮間の絶妙なFKを澤がバックヘッドで競ると相手DFジュリー・ジョンストンに当たってゴールに吸い込まれるオウンゴールで2-4に。
この瞬間、「奇跡の可能性」を感じさせるも、2分後には再びセットプレーからファーサイドを使われて揺さぶられ、中央のトービン・キースをフリーにして押し込まれて2-5に。
その後は決勝トーナメント以降に印象的な活躍を見せるFW岩渕真奈を投入。バイタルエリアで巧みに好パスを引き出す彼女を起点に局面打開を仕掛け、ベンチも両サイドの有吉、鮫島を高く保って急増3バックにして攻めたてるも、菅澤や大儀見、宇津木がフリーで放つシュートはGK正面や枠を外して得点ならず。
終盤は35歳になったFWアビー・ワンバックや、アメリカが最後にW杯を制した1999年大会の唯一のメンバーであった40歳のDFクリスティン・ランボーンを投入する粋な計らいに、日本人サッカーファンとしもアメリカの女子サッカーの歴史を感じさせる場面に拍手を送りたくもなる試合となり、そのままアメリカが2-5のまま勝利。4大会ぶり3度目のW杯優勝を果たしました。
では、最後になでしこJAPAN出場選手の個人採点と寸評をお楽しみ下さい☆