転換点となる大きな逆転勝利!
【明治安田生命J1リーグ第1ステージ第16節】
サンフレッチェ広島4-2浦和レッズ
[得点者]
<広島>柴崎(6分)、塩谷(64,69分)、佐藤(83分)
<浦和>関根(26分)、宇賀神(40分)
先制するも前半で逆転され、主将・青山まで負傷
昨年のJリーグ王者であるサンフレッチェ広島はAFCチャンピオンズリーグ出場による過密日程に苦しみ、すでにステージ優勝の可能性は消滅した。明治安田生命J1リーグ第1ステージの残り2試合というタイミングで迎えたのは、因縁の相手=浦和レッズ。広島で育った有力選手が軒並み引き抜かれ、5年半もの長期間に渡って指揮を執ったミハイロ・ペトロビッチ監督までもが、浦和で5年目の指揮を執っている。
この試合を迎えるまでにDF佐々木翔・MF森崎浩司・MFミカエル・ミキッチ・DF水本裕貴と経験豊富な4人が負傷による中長期離脱中の広島。今季の開幕から考えれば、約1カ月ほど離脱していたFW浅野拓磨とMF森崎和幸もこのリストに入っていたと言えるほど、負傷者続出は深刻だ。
この日、試合の入りも前半を通しても浦和が主導権を握り続けた。ただ幸いなことに、中盤で起点となったFWピーター・ウタカの絶妙なスルーパスからMF柴崎晃誠が浅くなっていた相手DF裏のスペースへ抜け出し、冷静に持ち込んで左足で先制点を奪う事に成功した。
しかし、浦和に両サイドを使われて攻撃の幅を取られ、中央のスペースも埋められなくなった広島。26分にはDFライン裏へのパスの対応を誤り、エリア内にこぼれたボールをMF関根貴大に拾われて同点に。さらに40分には中央のエリアを好き放題に展開され、浦和DF森脇良太がドリブルしている間に、横パスにフリーになっていた左サイドMF宇賀神友弥がバイタル中央へ走り込みながらの右足ダイレクトシュートが決まって1-2と一気に逆転された。
さらに、逆転直後には主将にして攻守の要でもあるMF青山敏弘が負傷交代。そのまま前半を折り返した。
佐藤寿人の投入で一体となったスタジアム
後半に入ってからは前からのプレスの意識が増して互角の勝負には持ち込めるようになった広島だったが、最後の局面で分厚さがなかった。しっかりと崩せてはいたが、相手が錯乱するような仕掛けではなかった。この水準では強豪・浦和レッズを追い詰められない。
そこで61分という早い時間帯で広島の森保一監督が動いた。投入されたのはエースFW佐藤寿人だった。それも交代するのはMF森崎和幸。青山が負傷交代でピッチを後にしているにも関わらず、森崎和までアウト。ピッチにはウタカも浅野拓磨も残している状態で残り30分ある時間帯で、「最もぺナルティエリア内での仕事に特化したFW」である佐藤を投入したのだ。
ウタカと佐藤の2トップが形成され、浅野は右サイドMFとなり、4バックの陣形が出来上がっていた。柴崎はほぼトップ下でプレーする<4-4-2>だった。ほぼ“ぶっつけ本番”の急造布陣で同点・逆転を狙いに行った。