同じ時期には昨季終盤にサンダランドの監督に就任した大ベテランのオランダ人指揮官、ディック・アドフォカートも退任。こちらは昨季終盤に奇跡的な残留劇を披露し、当初は監督引退を決心していながらも留任。しかし、今季はか開幕から未勝利が続く中でチームの未来を考えた上で辞任へ至ったという経緯。同じく昨季後半戦から就任し、こちらもアストン・ヴィラのプレミア残留に尽力したティム・シャーウッド監督も開幕10戦目で解任の憂き目に。こちらは点取り屋のベルギー代表FWクリスティアン・ベンテケと攻守の要であるイングランド代表MFファビアン・デルフ、守備の要であるオランダ代表DFロン・フラールというセンターラインを引き抜かれての低迷とあっては情状酌量の余地といった部分も多分にあったと思われますが・・・。
そんな今季の3例はさておき、昨季のプレミアリーグは監督交代が奏功した例が多く、シーズン半分を終えた時点から就任したクリスタル・パレスのアラン・パーデュー監督や、ウエスト・ブロムウィッチ・アルビオンのトニー・ピューリス監督はその代表例。特にパーデュー監督が就任した時点でパレスは残留争いをしていながら、最後は10位でフィニッシュしました。そんな昨季の監督交代例は以下の表の通りです。
ただし、上記のアドフォカ―トとシャーウッドは途中就任監督として成功しながら、新シーズンからは低迷。就任から1年も経たずに退任に至っています。
やはり、“途中就任監督”という別ジャンルが存在するのかもしれません。チームや選手個々の士気を上げる事に長けたモチベータータイプはこのジャンルに属する代表例で、シャーウッドはいかにもこのタイプ。1度は解任されながらも1日で復帰したレスター・シティのナイジェル・ピアソン監督もこのタイプだと思いますが、解任を通告されて以降の“ニュー”ピアソン監督体制の連勝街道を考えれば、“ショック療法”が本当に効果を発揮している証明になっているようにも思えます。
とはいえ、“途中就任監督”の効果は時期が過ぎると錆びつく一方。しかし、“途中就任監督”ではないモウリーニョの場合はこれまでも同じチームで3年目に大きな問題を作って退任に至る事が多く、ヴェンゲルやマンチェエスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン元監督のような長期政権型の監督でもない。第一次政権時のような電撃解任の可能性もないとも言えない状況の中、チェルシーとモウリーニョの動向を見る楽しみと、“途中就任監督”の効果や監督交代の是非についてあれこれと思考を凝らして観戦するのもサッカー観戦の楽しみかもしれませんね。