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2-1のスコアに疑問を感じたクラシコ

 2-1でバルサが勝利した結果に、どれだけの人が納得しただろうか?

 バルサは後半戦の好調をクラシコでも維持し、レアルとの首位攻防戦を制した。ただそれだけの事だが、この一戦に疑問を持たずにはいられない。両チームのアイデンティティはいつ入れ替わったのだろうか。

☆立場が入れ替わったクラシコ

 ペップが就任して以降のバルサは、クラシコでも圧倒的なポゼッションを誇ってきた。ましてや舞台はカンプノウ。バルサが主導権を握るのが半ば常識となっているスタジアムで、ボールを巧みに回したのは白い巨人の方だった。負傷から復帰したモドリッチが小気味よくパスを散らし、3トップを巧みに動かした。

 その攻撃をピケを中心に跳ね返すバルサ。そして前半19分、セットプレーからマチューが頭で合わせ、バルサが先制に成功する。レアルとしては主導権を握りつつあっただけに、もったいない失点だった。しかし何よりの驚きは、空中戦に強いイメージの無いバルサが単純なセットプレーからゴールを奪ったことにある。

 クラシコでのセットプレーはラモス、ペペ、ロナウドなど高さに分があるレアルが支配しがちだった。その構図を今季よりバルサに加入したCBマチューのヘッドが塗り替えた。まさに攻めに出る相手を挫くセットプレーからの得点劇となった訳だ。

 一方で、レアルのパスワークはさらにスピードを上げた。決して堅牢とは言えないバルサの中盤を支配し、SBのマルセロやアンカーのクロースがミドルシュートを打つ場面も多かった。そして前半31分、巧みなパスワークからベンゼマが1タッチで中に入れると、ロナウドが右足でフィニッシュ。

 PAを幅広く使うバルサ顔負けの崩しだった。こんな崩しが出来るようになったのも、バルサが築き上げた究極のポゼッションサッカーに全力で対抗したレアルの努力の結晶でもある。バルサ相手にもポゼッションで勝負できるようになり、ペップが去って以降はレアルがクラシコを制する機会も増えた。
 
 ロナウドのゴールは、本来バルサがやりたかった崩しでもある。しかしこの日のバルサはパスが繋がらず、簡単にボールロストするシーンも目に付いた。流れは完全にレアルのものだった。

 しかし後半11分、1本のパスに抜け出したスアレスがカシージャスの横を破るシュートを決めてバルサが勝ち越しに成功する。レアルが完全に押し込んでいた時間帯だっただけに、想定外の失点となった。1本のロングパスで相手を仕留めるのは近年のバルサには見られないスタイルであり、本来はレアルの戦い方だ。

 ここでもスタイルの逆転が起こり、レアルの守備陣は呆然と立ち尽くしていた。あの場面はパスを出したアウベスにプレスがかかっておらず、守備のセオリー的にはDFラインを上げるべきでは無かった。しかしレアル守備陣の頭の中には、バルサはロングボールを蹴ってこないだろうという過去のクラシコでの記憶があるため、スアレスのケアが遅れてしまった。
 少ないチャンスで相手を仕留めるレアル型のサッカーをバルサが行い、往年のバルサを思わせるパスワークを披露したのはレアルだった。あべこべとなった今回のクラシコには、異様ともいえる空気が漂っていた。

☆堅実な試合と綱渡りなシーズン

 シーズンの前半戦途中より、バルサは試合ごとに安定感を増している。メッシのコンディションは右肩上がりで上昇し、誰も止めることが出来なかった伝説の時代に戻りつつある。それに合わせるようにスアレスもフィットし、ネイマールもバルサイズムの中で個性を発揮出来るようになったと感じる。