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パリVSバルサ ~ブランはベスト8にふさわしくない〜

 アウェイゴールを3点も奪われた時点で勝負は決し、パリがカンプノウで戦う第2戦には希望の欠片も残っていない。終盤にファン・デル・ヴィールのゴールで1点を返したものの、サポーターを慰める事すら出来ぬ得点だった。
 バルサは第2戦にリラックスした気持ちで臨むことが出来、リーグ戦とCLで酷使している3トップを休ませることだって可能だろう。逆にパリはカウンターの嵐を受ける事が分かり切っているカンプノウで、恥を忍んで得点を奪いに行かなければならない。

☆カンプノウで奇跡は起こらない

 ここでもう1度ブランの言葉を思い出してほしい。「いない者の話はしたくない」。この試合で先に挙げた4名が起用できない事は事前に分かっていた事であり、指揮官であればそれに対応する策を用意しなければならない。
 聡明な指揮官であれば、自分のチームがベストメンバーを組めない時点でバルサとの真っ向勝負は避けたはずだ。なぜなら翌週の第2戦ではヴェッラッティとイブラヒモビッチの両名が起用できるからだ。勝負をかけるのであれば第2戦が妥当だろう。

 そのためにも第1戦は慎重に戦い、失点しないことを第一目標に戦うべきだった。少なくともメッシ、スアレス、ネイマールの3トップには最大限の注意を払い、自由を奪うべきだっただろう。グループステージでバルサと戦った際にも彼らの脅威は感じたはずで、今のバルサの得点が3トップに偏っている事も分かっていたはずだからだ。
 バルサの3トップは世界一豪華で強力だが、得点パターンのほとんどはカウンターだ。以前のようなポゼッションから緻密に崩すケースはほとんど無くなっている。その事を考えても、1失点目に繋がったラビオのようなボールロストは何としてでも避けるべきだった。
 ラビオの心の中には「カウンターを狙ってやろう」という攻撃本能があり、失点をしない事を第一目標に据えていれば防げた失点だったはずだ。

 負傷したチアゴ・シウバと交代したダビド・ルイスへの指示もマズかった。ダビド・ルイスは負傷から戻ってきたばかりで、バルサのカウンターを防げるような状態では無かった。スアレスに2度も抜かれたプレーも実に彼らしからぬもので、本来は1対1に強い選手なのだ。
 それを考えても、ダビド・ルイスにカウンターの後処理を任せるのはいかがなものか。ブランの判断は90分を通して、いや、それよりもっと前の段階から間違いだらけだった。CLで結果を残そうと息巻く金満クラブのPSGに、彼はふさわしくない存在だ。

 PSGは確かにグループステージでバルサに勝った。しかしカンプノウでの戦いでは1-3と完敗を喫している。この情報が頭にあれば、第1戦のホームで相手にアウェイゴールを与える事がどれほど危険かが理解できたはずである。
 まさか決勝トーナメント1回戦でチェルシー相手に起こしたような大逆転を、カンプノウで再び起こせると考えている訳ではあるまい。チェルシー戦の幕切れは劇的だったが、あれは奇跡と呼んでいい産物だだ。
 あの奇跡に目を向けるのではなく、第1戦でチェルシーに与えてしまったアウェイゴールに最後まで苦しんだ事に目を向けるべきだった。

 戦犯が誰かを決めるのは本来好きではないのだが、今回だけは監督のブランとしか言いようがない。奇跡を夢見たサポーターは、一夜にして現実を見せられた。果たしてカンプノウでも現実を見せられるのか、それとも・・・。