彼女の加入により、やっとGK・DF・MF・FWそれぞれのポジションで核となるセンターラインの選手が固まった。各セクションがどうしても1列後方の仕事を強いられていた中、やっとポジションと役割が整理されて来たという段階。新チームはこれからが本当の船出という印象だ。
楽しみな南米風味の湯郷の攻撃
湯郷がこの日対戦した相手は、昨季2部初昇格で3位へと躍進したC大阪堺L。先発メンバーの平均が17.8歳という極度の若手偏重だが、各年代の代表チームに多数の選手を輩出しており、今季もここまで無敗(3勝2分)をキープしている実力のあるチームだ。
序盤、湯郷はいきなり最終ラインでのビルドアップで致命的なミスが出てしまい、一度は何とか防いだものの、PKを献上。これを得点ランクトップのC大阪堺Lの17歳のFW宝田沙織が決めてC大阪堺Lが先制。
その後は湯郷が最終ラインから丁寧なパスを繋ぎ、ワンタッチのショートパスとフリーランでサイドから中央へと入って来る独特の中央突破から、最後は巴月優希が抜け出してGKの脇下を抜くシュートで1ー1。続けて、FKからのオウンゴールで1-2と逆転。
ただし、33分に微妙な判定で再びC大阪堺LにPKが与えられ、松原志歩が決めて2-2。直後の37分には宝田に左サイドから抜け出されて対応できずに3-2と再逆転という撃ち合いで前半を折り返した。
後半は選手交代も含めて総力戦の様相を呈し、全てを投げうった采配で、湯郷が南米のチームのようなドリブルとパスを織り交ぜながらの攻撃から再び巴月がこの日2点目となる得点で3-3と80分に追いついた。
しかし、C大阪堺Lは試合終了間際の90分にパワープレイでロングボールをゴール前に送った混戦から、最後は途中出場のFW田中智子が押し込んで4-3として決勝点。
湯郷は敗れたが、巴月が挙げた2得点はアルゼンチンのような南米テイストの仕掛けと崩しが見られた。現役時代にアルゼンチンの強豪・ボカジュニアーズに所属するなど、南米の血が流れる亘監督の“色”なのだろう。今後は面白いチームになっていく可能性を感じた。
そして何よりも上記したような、なでしこリーグ2部のレベルの高さを象徴するような攻撃的な試合で、観ていて面白い試合だった。湯郷はもちろん、各チームの多彩なチーム作りや次なる代表選手の誕生を予感させる今季のなでしこリーグ2部には大きな期待と楽しみをもって観戦したい!