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【図解】ミラン崩壊の危機!インザーギの解任は大詰めか!?

 ユーヴェとの戦いで採用した4−4−1−1は、左右非対称のシステムになっていた。右に入ったチェルチは持ち前のドリブルでチャンスメイクを試みるが、左サイドに入ったムンタリはサイドからチャンスメイク出来るタイプではない。左の攻撃は本田が入った時と同様に手詰まりとなり、攻撃が右に集中した。
1つのサイドに偏った攻撃など相手にとっては読みやすく、しかも単独でのドリブル突破なら尚更だ。そこにトップ下の本田が絡む訳でもなく、まさに個の力に依存したシステムだった。さらに左右非対称を加速させたのがチェルチの守備である。
チェルチは守備時に自陣まで下がらず、本来マークすべきはずの相手の左SB・エヴラをフリーにしてしまっていた。中盤はボランチの2枚とムンタリの3人でカバーする形となり、この時点で4−4−1−1の形が崩れている。

 別に左右非対称のシステムが悪いとは言わない。そこに何かの理論があり、それがチームとして活かせているのであればだ。しかし現代サッカーでそれを実現するのはかなり難しい。現代サッカーはあくまで組織優先であり、個人のためにシステムを用意するなどあり得ないからだ。
そしてインザーギの左右非対称には理論が無かった。攻撃の形も守備の形も皆無で、ユーヴェがやりたいサッカーを簡単に実現させてしまった。今インザーギが言いたい事は何となく分かる。「エル・シャーラウィが戻ってくれば左サイドは活性化する」と。
確かに右利きで左サイドを主戦場とするシャーラウィが戻れば、チェルチの右ともバランスが取れる。システムは恐らく4−2−3−1となり、トップ下にメネズ、最前線にデストロの構成となるだろう。そう、ここに本田のポジションは無い。しかしこのインザーギの理屈は、まさに個の力に依存している現状をよく表している。

 本田よりもチェルチやシャーラウィ、メネズが優先されるのは、彼らの方が個の力が強いからだ。彼らは独力で局面を打開する能力を持っているが、本田は組織と連動してチャンスメイクするタイプの選手だ。しかしインザーギが組織を作れない今、本田が活躍するのはかなり難しい。
ミランがセリエA発足後最も成績が悪かった時期は1996−1997シーズンまで遡る。その時は11位でフィニッシュし、その翌年も10位。しかしその翌年には優勝している。その繰り返しが起こるならば、セードルフ、インザーギの悪い流れを断ち切る人物が翌年に生まれる事になる。

 果たしてそんな救世主は訪れるのか。少なくともインザーギの首が切られるカウントダウンは着実に進んでいるという事だ。