そもそもこのU23は’78年から開催されていたUEFA主催のU-21欧州選手権をパクったアイディア。若手に国際経験を積ませる場として位置づける事は間違っていない。オリンピックの理念が、青少年の育成と発展を掲げているのだから原点回帰。しかし舌の根も乾かぬ次の96年大会から興業として盛り上げるためのオーバーエイジ枠を採用。「なんじゃ、そりゃ!?」である。金儲けの為五輪プロ化の流れは、何にも変わっていなかった。
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であるならば(開き直って)FIFAワールド杯との差別化をどう図るべきか。全然難しくはない。五輪に関しては年齢関係なく国内でプレーしている選手のみに参加資格を与えればいい。
欧州·南米は今更述べる必要もないが、北中米カリブのアメリカ合衆国は、現在コパ·アメリカに参戦。しかし26人の中でMLSでプレーしているのは二人だけ。1996年に開幕して以来堅実に発展しており、我々の知らない素晴らしい選手がいるはず。メキシコもリーガMXのレベルは高い。
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アフリカに目を向けると、モロッコとエジプトの北アフリカ勢がパリの地(芝)に立つ。昨年浦和レッズを叩きのめしFIFAクラブワールドカップで過去四回3位のアルアハリが王者のエジプト·プレミアリーグはIFFHSの評価ランキングでも高い。同リーグに続くのがモロッコ、チェニジア。米と同じく96年創立の南アフリカプレミアリーグが三強に続く。
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アジアでは、2007年から世界基準を取り入れ総当りのリーグへと転換したサウジアラビアのプロフェッショナルリーグ。カタールでアルゼンチン代表にジャイキリをかましたチームは記憶に新しい。この国の選手は自国の金満リーグを出ることはないから、A代表がそのまま五輪代表にシフトされる。
2022年ワールド杯の豪州代表26人中8人が自国リーグの選手だったから日本よりも多い。2005年8月に本格的プロリーグが開幕。今月来日予定のニューカッスルが先々月20歳前後のAリーグ選抜に8-0と完膚なきまでに叩きのめされた。プレミアリーグ終了直後で最悪のコンディションは容易に想像できるが、豪州の国内レベルが侮れない事を証明した。イランも国内にタレントを抱えている。そしてJリーグ。間違いなくU23より高いレベルのメンバーが揃う。普段身近に観ている選手で構成された代表は各クラブのファン·サポーターからの支持を得やすい。何れにしてもアジア地区は今以上に厳しい戦いとなるが寧ろ望むところ。
灯台下暗し。こんな簡単な事に気づかないとはIOC役員のじい様達は、脳みそが高齢で固まっているのだろうか。自分も間もなく還暦を迎えるから、若者達からすれば充分ジジイで偉そうなことは言えないのだが。[第146話了]
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⏹️写真/テキスト:横澤悦孝 ⏹️モデル:谷内田結唯