本日は期限付き移籍について書かせていただきます。主にイングランドではローン移籍と言われますが、Jリーグではレンタル移籍と表現されています。簡単に言えば、経験の浅い若手選手の実戦経験の場を与えるために作り出された移籍ルールで、レンタル料を払う事で期限付きでその選手を獲得できるという一般社会でいう派遣法をサッカー界に取り入れたような仕組みです。そのメリットとデメリットをまとめると以下のようになります。
期限付き移籍のメリット
①実戦経験が積める
②違うサッカーや環境を知ることが出来る
③人脈が拡がる
期限付き移籍のデメリット
①(下部リーグへの移籍の場合)環境が悪くなる
②元のチーム及びサポーターとの関係が浅薄になる(情報が少なくなるため)
③レンタル元クラブからは余剰戦力とみなされるイメージ
となります。
一般的にも個人的にも、サッカー選手の旬は短いのでレンタル移籍は有りだと思いますが、日本の下部リーグは専用練習場がないなど環境が不十分なため、メディカルケアに不安が有ります。
また、いったんレンタル移籍をすると、そのシーズン中のレンタル元クラブへの復帰が原則不可になってしまうのも現行のJリーグ規定の残念な部分です。逆に、イングランド・プレミアリーグではGKはポジション柄人数が少ないため、怪我人を考慮しての超短期間移籍も許可されるという特例があります。
そんな中、僕が応援するガンバ大阪からのレンタル移籍選手の活躍状況をまとめましてみました。
ガンバ大阪からのレンタル移籍選手の活躍状況~ポスト倉田&丹羽を探せ!!
昨季はプロ入り7年目にして初めてのホーム万博でのお立ち台に上る活躍を見せるなど、J2優勝を飾ったガンバ大阪にあって副主将となったMF倉田秋の活躍ぶりは”前半戦MVP”と言われました。そんな倉田もガンバでプロ入り後の3年間は将来を嘱望されながらも出場機会の少ない若手選手の1人でした。特に2005年に初のリーグ優勝を飾ったガンバにあって2007年にプロ契約を交わしたユース出身の倉田にとっては、ガンバのトップチームはすでに完成された強豪チームとなっていたために自身の出場機会を狙うには狭き門だったと思います。
そんな彼は2009年のオフに出場機会を求めてレンタル移籍を志願し、2010年をJ2ジェフ千葉(リーグ29試合8ゴール)・2011年をJ1セレッソ大阪(リーグ33試合10ゴール)でプレーしました。その2年間で本職のボランチではなく、得意のドリブルを活かすために2列目にコンバートされた事が彼のキャリアにとってのターニングポイントとなったはずです。
また、昨季後半からガンバでレギュラーに定着してDFリーダーとなった丹羽大輝も大宮アルディージャや徳島ヴォルティス、アビスパ福岡とレンタル移籍を繰り返して経験を積んだ選手。アビスパ福岡ではレンタル契約の選手なのにキャプテンを任されていたぐらいですから、現在のDFラインの統率をする上で重要なコミュニケーション力や精神的な部分での逞しさを養ってのガンバ復帰となりました。レンタル期間中にJ1・J2合わせてリーグ戦150試合以上出場した十二分な経験値を自分のキャリアに活かしている選手ですね。
チームの強化の未来予想図としてのレンタル移籍
2005年のリーグ優勝によって翌年に初参加したACLに合計6度出場しているガンバは大型補強も繰り返すクラブとなった事で若手選手のレンタル移籍は増える一方だと思います。その人数は2012年の後半には8人にものぼる数となっておりましたましたが、半数の4人がシーズン終了後に完全移籍に移行。
今季はそのレンタル移籍からの復帰ではヴァンフォーレ甲府からGK河田晃兵、サガン鳥栖からDF金正也が復帰するに至りましたが、J1昇格を争う原動力となった京都サンガMF横谷繁はレンタル移籍からそのまま完全移籍に移行となりました。また、昨季レンタル移籍から復帰したFW平井将生、FW星原健太は共に復帰後1年で戦力外扱いから完全移籍でガンバを離れた経緯もあり、レンタル移籍に出されると退団へ向かう流れがまだまだ多いのが現状です。
23歳ぐらいになるまではレンタル移籍にも出さずにクラブ内に置いてほとんど出場機会がなく、いざレンタル移籍に出してレンタル先で結果を出しても、25歳越えたら完全移籍への移行を決意するのは選手・クラブ共に妥当な考えだとは思います。ですから、もっと若い段階でレンタル移籍を積極的に駆使してもらい、チーム強化の未来予想図として利用してもたいたいですね。
ここではそんなガンバ大阪から今季はレンタル移籍で活躍中の4選手の活躍ぶりをチェックし、次に倉田や丹羽のようにガンバに復帰して活躍してくれる選手をチェックしてみて下さい☆