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日本対ベネズエラ 積み上げられた収穫〜武藤、柴崎を主力に!

日本代表2ー2ベネズエラ代表
得点者【日本代表】武藤(51分)、柴崎(66分)
【ベネズエラ代表】マリオ・ロンドン(58分、PK)、シチェロ(71分)

 ウルグアイ戦と合わせた2試合で確実に積み上げられた要素が見られた中で、今後の主力になるべき2人が代表初ゴールを記録する後に記憶に残りそうなゲーム。勝てなかった事だけが残念でした。

【マッチレポート】ウルグアイ戦から宣言通りに5人の先発メンバー変更!期待の鹿島MF柴崎が代表初キャップ&初先発

 
 注目を浴びたハビエル・アギーレ新監督就任後初の日本代表戦となったウルグアイ戦は正直に言って、結果以上に内容的完敗でした。もちろん、ブラジルW杯惨敗と新監督就任を経て始まった新たな日本代表としての初陣であり、まだまだ時間が足りないのは承知してはいますが、それを踏まえても釈然としない中途半端な戦いぶり。対戦相手のウルグアイが現在FIFAランク6位の現・南米王者であり、同じ体制下で長年積み上げられたチームの完成度にも違いがあったものの、堅守速攻からの鋭いカウンターを武器にするチームにポゼッションでも主導権を握られるような戦いでは・・・勝機は微塵も感じられませんでした。
 ただし、そのウルグアイ戦ではW杯メンバー7人を先発させた上で、今回初めて代表選出されたDF坂井、FW皆川というそれぞれ日本代表選出時には今季のJリーグで4試合(先発4)と7試合(先発1)に出場したのみであった2人を先発に抜擢させ、後半にも代表デビューとなった武藤、森岡が好プレーを見せ、中盤の底にはDFの森重が起用されて無難にこなすなど、”アギーレ色”も出ていたので、そこからの積み上げが期待されました。
 この日の気になる先発メンバーには中盤の柴崎が代表デビュー戦となり、他にもCB水本、右SBには酒井高徳、最前線に大迫、左サイドに柿谷が起用され、ウルグアイ戦からは5人の変更。「2試合で全員をプレーさせたい」と言っていたアギーレ監督の言葉通りの起用となったようで、その中でも”3人のリーダー”と言われる川島、吉田、キャプテンマークの本田は連続フル出場となりました。
 ベネズエラは近年欧州でプレーする選手が増えて悲願のW杯初出場が期待されながらも、ブラジルW杯の南米予選6位(4位までが本大会出場権、5位が大陸間プレーオフ)に終了。悲願のW杯初出場は僅かの差で果たせなかったものの、コパ・アメリカでは躍進し始めており、南米で唯一W杯出場経験のない”最弱国”のイメージは刷新中。国内リーグでタイトルを総なめにしてきた母国人のノエル・サンビセンテ氏を新監督に据えて4年後のロシアW杯を目指す上で、世代交代も施しながらのメンバー構成で、先日は韓国に1-3と逆転負けを喫して日本戦を迎えています。

攻守の切り替えの速さ際立つも、自滅でリズム崩す前半

 試合の方はキックオフから日本の選手の距離間が良く、それが攻守の切り替えの速さを生んでリズムを掴みました。
また、開始12秒でこの日も主将を託された本田が鋭い左足ミドルシュートを放った事も序盤のテンポを作ったと言えます。
その攻守の切り替えの速さで言えば、11分。相手のCKからをクリアしたボールをシンプルに繋ぎながらコレクティヴ(連帯感)カウンターを発動。左サイドの柿谷へ渡ると、絶妙のタイミングで中央へ抜けた本田へスルーパスはGKの果敢の飛び出しに阻まれたものの、鋭いカウンターの切れ味が見て取れました。
 また、24分には中盤の柴崎からの浮き球ミドルパスを、右からダイアゴナルに逆サイドのぺナルティエリアまで入って行った本田の動き出しからのシュートは今までになかった新鮮なモノに感じました。(岡崎ならやってましたが)

 その間のベネズエラはというと、スペインのマラガなどでエースとしてゴールを量産して実績を残してきたFWサロモン・ロンドンが最前線でポスト役となり、彼からの落としやキープを起点としてシンプルにシュートまでは繋ぐ攻撃をしていると徐々にリズムはベネズエラに。

 そして29分、日本の最終ラインでのビルドアップ。森重から右の水本へ出た中途半端なパスを狙われ、水本がボールを奪われてそのままエリア内にまで持ち込まれてシュート。GKとほぼ1対1でしたが、川島のビッグセーブで防ぎ事無きを得たと思いきや、33分にも柴崎の苦し紛れのパスを奪われて同じようなショートカウンターを浴びるなど後方でのミスが目につき、そこから自滅のような形でリズムを失います。
それでも38分には中盤から柴崎が縦パスを入れ、大迫がワンタッチで落としたボールを森重がスルーパス。この間に左サイドから裏へ抜けていた柿谷が絶好のポジションとタイミングでスルーパスを受け、エリア内でGKと1対1に。しかし、シュートはGKの好守に阻まれて得点ならず。直後にも右クロスから柴崎が絡んだボールをエリア内でハーフボレーをミートできなかった柿谷は前半で交代に。
そのままスコアレスで前半を折り返しました。

確かな積み上げとなるアギーレ色と主力になるべき2人の初ゴール

 
 そんな前半を経て始まった後半。前線の大迫、柿谷に替えて、ウルグアイ戦で動きの良かった岡崎と武藤の2人を投入。この2人の投入によりアギーレテイストでは重要な要素である縦への推進力が生まれて攻撃が活性化します。
 そして51分、岡崎が落としたボールを受けた武藤が前を向いて自らドリブルで持ち上がり、本田らフリーの選手もいる中でさらに強引に持ち上がって自ら放った左足のシュートが決まって日本が先制。1-0。アギーレジャパン初ゴールはやはり”乗ってる男”でした。
 しかし、57分。相手のロングフィードをまたもサロモン・ロンドンに巧みに落とされ、ポジショニングミスもあって裏を突かれた日本は、ベラにハーフウェイライン付近からドリブルを許す。武藤のゴールシーンのように一気にエリア内にまで持ち込まれ、後方からタックルに入った水本がファウルを取られてPK献上。マリオ・ロンドンがGK川島の逆を冷静について決め、すぐさま1-1の同点に。
 ただし、アギーレ色がさらに出る展開で主力になるべきニュースターが再び輝きます。
 66分、自陣でのボール回収から武藤と柴崎のパス交換で前進しての速攻。左サイドに流れたFW岡崎へ展開し、サイドからのドリブルでの仕掛けに対して中に突っ込む武藤と本田の裏となるファーサイドへ送られた岡崎のワンバウンドクロスを長い距離を走って入って来た柴崎が巧みに右足で合わせて振りぬいたハーフボレーが決まって日本が2-1と勝ち越しに成功。
 その後、「主役は譲らない」とばかりに、本田の直接FKがポストを直撃する場面があったものの、運動量が一気に落ちた日本は集中力が散漫に。
 71分、サイドからの揺さぶりで空いた中央。ミドルレンジからのベネズエラ左SBシチェロの無回転シュートに対して誰も寄せられず。GK川島も正面のボールを後逸してそのまま失点するという不味い対応で2-2に。
 以降は日本にチャンスはなく、ベネズエラのミドルシュートが脅威となるものの誰も寄せきれない場面が目立ってしまい何とか川島のセーブで防ぐのみの展開。