それだけに仕留めきれなかった事が残念だった。
得点量産も、収穫と課題が残るハッキリした連戦
選手交代なしで迎えた後半。前半の30分過ぎから日本のテンポが落ちた事で、シリアにカウンターも食らっていた日本はやや落ち着いて入った。しかし、ボランチの山口蛍が負傷退場せざるを得ない事態になり、ハリルホジッチ監督はアタッカーの原口をボランチとして投入した。
原口はボランチの位置からドリブルで持ち込んだ。シリアが得点を狙うためにカウンターで前線の選手を前残りさせていたため、中盤にはスペースが拡がっていたためだ。これにより、日本の最終ラインからのフィードは少なくなったが、ドリブルが多くなった日本の攻撃には推進力が出た。香川の見事な身のこなしと浮き球処理による華麗なゴールだった66分の2点目も、原口のドリブルでの駆け上がりが起点だった。
その後、千両役者の本田と香川が1得点ずつ奪い、93分には原口自身が長友佑都のクロスに元気いっぱい打点の高いヘッドで仕留めた5点目を奪い、日本は5-0とスコア的二は圧勝した。
ただ、決定機の数ではシリアにも5回は許していた。内容的には拮抗していた。無失点に終わったのは奇跡と言えるほどに。前半にしてもシュート数としては6本ずつなので、決定力というよりも、フィニッシュへの展開が遅いのかもしれない。その上での原口の投入なら、しっかりと仕留め切れた後半をプラスに考えても良い。
また、リスク管理の欠如への批判もあるが、守備力を向上させるには約束事を守ったり、守備意識を高くするだけではなく、敢えてリスクをかける事で、個人個人や2,3人の意見交換で急場を凌ぐ対応力やアイデアをつけさせるという術もある。森重や長谷部誠の読みや身を呈した守備、西川周作のビッグセーブには火中でも冷静に対応できる判断力と守備範囲の広さが見て取れた。
シリア戦も前節のアフガニスタンも、ハッキリとした収穫と課題がいっぱい出た事が良かった。今までは約束事に縛らられて何が収穫なのかも課題なのかも分かりにくかったからだ。9月から始まるW杯アジア最終予選へ向けて順調とは言えない日本代表だが、もう底は脱したように見えた。(以下、順位表参照。)